おおさかナウ

2018年11月11日

声を届けて
たつみコータロー参院議員の国会論戦
自衛隊員・武器弾薬の99%が民間輸送 国会質問で初めて明らかに

国会議事堂前を埋めた市民ら=2015年8月30日

国会議事堂前を埋めた市民ら=2015年8月30日

 違憲立法の戦争法案(安保関連法制)が参院安保法制特別委員会で審議されていた2015年8月、「戦争法案廃案!安倍政権退陣!全国100万人大行動」(30日)は、国会議事堂前12万人、大阪市の扇町公園2万5千人など全国1千カ所以上で、戦後史に刻まれる空前規模で列島各地に広がり、安倍政権の暴走政治を許さない巨大な意思表示となりました。

 安倍政権が戦争法案の衆院可決を数の力で強行し、参院で審議入りしたのが同年7月28日。審議が進めば進むほど、安倍首相や閣僚は国会で法案についてきちんと答弁できず、自衛隊をアメリカの戦争に参加させる法案の危険性や、「国民の命を守る」などの立法事実の破綻が浮き彫りになりました。

 政府が法案についてまともに説明できず、委員会での審議中断は70回を超える異常事態に。追い詰められた政権側は参院での可決をあきらめ、「60日ルール」を使って衆院再可決(憲法59条4項)を狙うなど国民世論に逆行する姿勢を一層あらわにしていました。

日本航空とも契約

 「集団的自衛権の行使を認める戦争法案は、米国の無法な戦争に日本が加担するものだ。戦地に行かされるのはまさに若者たち。法案の本質を見抜き法案反対、廃案にと立ち上がっている。戦争法案は廃案にすべきだ」

参院安保特別委で質問するたつみ議員=2015年8月26日

参院安保特別委で質問するたつみ議員=2015年8月26日

 日本共産党のたつみコータロー参院議員は8月26日、参院安保法制特別委員会で、「民間動員」「経済的徴兵制」をテーマに質問。自衛隊のイラク派兵の際、武器や弾薬を民間航空機が輸送していた実態や、防衛省が2013年に民間企業の新入社員を2年間の任期制で自衛隊に入隊させる制度を検討していた問題を告発し、戦争法案の廃案を求めました。

 たつみ議員は、イラク派兵の経験や教訓をまとめた陸自内部文書「復興支援活動行動史」の中に、「総輸送力の99%を民間輸送に依存」と記述されていると指摘、「民間業者やその労働者が組み込まれてきた」と事実関係をただしました。

 中谷元防衛相(当時)は、日本とクウェート間の要員輸送は政府専用機24回に対し、「民間航空機で100回、物資輸送は民間船舶で10隻。(民間の)アントノフ輸送機でのべ63回」などと答弁。ブリティッシュ・エアウェイズ、タイ国際航空とともに日本航空とも契約したと明かしました。

 クウェートに輸送した「装備品」について、中谷大臣は当初、「人道支援物資等です」とはぐらかしたものの、たつみ議員が武器弾薬は含まれているかとただしたのに対し、中谷大臣は「含まれている」と明言しました。

 たつみ議員は、「『復興支援』でこれだけ民間が関わっている。ましてや集団的自衛権の行使や『後方支援』は、民間の協力なしではできない」と指摘。「イラク特措法」第9条が自衛隊員らの安全確保に配慮すると規定する一方、自衛隊に協力する民間労働者の安全確保は、法律で保証されるかと質問しました。

 中谷大臣は安全確保の対象について、「民間企業の職員は含まれない」と答弁。厚生労働省も海外であるため労働安全衛生法は適用されないと答え、民間労働者は何ら「安全」の法的担保がない中で、危険な業務を行っていた実態が明らかになりました。

メディアが特集も

 たつみ議員は、戦争法を構成する国際平和支援法や重要影響事態法によって、「非戦闘地域」の枠組みが撤廃される問題を告発。自衛隊が駐留した「非戦闘地域」は危険な地域だったとし、「活動範囲が広がり、自衛隊が行けるところは民間企業が行けるところになる」と指摘。戦争法によって民間動員の範囲が拡大すると批判しました。

 たつみ議員の質問は、自衛隊派兵で武器・弾薬を含め99%を民間が担っていた事実を初めて明らかにされたもの。続けて取り上げた「経済的徴兵制」と合わせ、大きな反響を呼び、報道ステーションなどマスコミが大きく特集しました。


(大阪民主新報、2018年11月11日号より)

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