カジノ一体・巨額の税金・脆弱人工島
大阪万博決定も問題山積
2025年開催
2025年の国際博覧会(万博)を大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま、大阪市此花区)で開くことが11月23日(日本時間同24日未明)、パリで開かれた博覧会国際事務局(BIE)の総会で決まりました。大阪での開催は1970年以来55年ぶり2回目。松井一郎知事は「世界がびっくりするような万博に」と語っていますが、万博を口実にした巨大開発の無駄遣い、万博と一体に維新府市政が誘致を狙うカジノに反対する声が上がっています。
大阪万博の会期は2025年5月3日から11月3日までの185日間。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、2800万人の集客を見込んでいます。松井知事や吉村洋文大阪市長は、万博予定地の隣にカジノを核とする統合型リゾート(IR)を誘致し、万博開催に先立つ24年の開業を狙っています。
万博は半年間のイベントですが、カジノは「国際観光拠点として着実に誘致したい」と吉村市長。万博の事業計画では、夢洲への鉄道建設(地下鉄中央線の延伸)や道路整備、埋め立て地の追加造成で計約730億円もの事業費が必要となりますが、実質的にはこれらはカジノのためです。
会場予定地の夢洲は現役の産業廃棄物最終処分地。台風21号の暴風でコンテナヤードに積まれていたコンテナが崩落、高潮で護岸が一部崩壊し、11㍍盛り土した地盤が波に削られる被害が出ています。
巨大開発の無駄遣いや
カジノ誘致に断固反対
柳共産党府委員長がコメント
日本共産党の柳利昭府委員長は11月24日に発表したコメント(全文2面)で、万博の理念を否定するものではないが、今回の大阪誘致は大きな問題点をはらむと指摘。府民の間には大阪開催を歓迎する声と共に、「なぜ万博がIR(カジノ)とセットになって推し進められているのか」「人工の埋め立て地・夢洲に5~11月、2800万人もの集客を行って大丈夫なのか」「巨額の府・市民負担が待ち受けるのではないか」との懸念の声も出ているとしています。
さらに安倍政権と維新政治が進める、「カジノ万博頼み」で「大阪経済の成長の起爆剤に」という道は、かつての「大阪湾ベイエリア開発」の二の舞になると指摘し、万博を口実にした巨大開発の無駄遣いやカジノ誘致には断固反対すると表明。広範な府民と共に「大阪万博」の進め方について議論・検討と提言を進めるとともに、行き詰まる大阪経済の打開と府民の暮らし向上へ、「カジノより中小企業」「カジノより防災・福祉」を掲げ、政策の根本的転換を求めて奮闘すると表明しています。
地震や津波の危険も
国民はカジノに反対
明るい会・よくする会
明るい民主大阪府政をつくる会の荒田功、大阪市をよくする会の福井朗の両事務局長は11月26日発表した談話で、「解決すべき課題が山積み」とし、夢洲は大阪湾岸部でも特に津波や地震で被害を受ける危険性が高いと警告。2028年まで使用できるごみ最終処分地で、ダイオキシンや重金属による土壌汚染の危険性もあり、早期の埋め立て費用や、夢洲に代わる処分場への費用負担は莫大な無駄遣いになるとしています。
万博は、多くの国民が反対するカジノ・IRと万博はセットの計画だと強調。万博の事業運営費や会場建設費の多くに税金が使われ、夢洲への地下鉄中央線延伸など巨大開発が目白押しだと批判しています。
「大阪万博は決まったが、カジノIRが認められたわけではなく、多くの国民がカジノに反対している」と指摘。半年間の万博が終わり、後にはカジノ賭博場が残るのでは、府民や国民の理解は得られないとし、万博を隠れ蓑にしたカジノ・IRの誘致に断固反対すると表明しています。
危険性訴える 大阪ネット
カジノ問題を考える大阪ネットワークの桜田照雄代表(阪南大学教授)は11月24日発表した声明で、夢洲へのアクセス鉄道の建設などに巨額の税金投入が計画されており、「景気回復に名を借りた大規模開発の計画は断じて許されるべきではない」としています。
また台風21号で、夢洲など大阪湾の人工島が防災上、もろく弱い土地であることが明らかになる中、半年の会期に2800万人の人々を集める万博を行うことは、「あまりにも無謀な計画」と警告。今後も、夢洲での集客イベント(万博)と集客ビジネス(カジノ)の危険性を広く訴えていくとしています。
〝カジノとセット〟が最大の問題
たつみ参院議員・宮原大阪府議 暮らし・防災にこそ
日本共産党の宮原たけし府議は11月24日、たつみコータロー参院議員と共にJR高槻駅前で街頭演説し、2025年の大阪万博開催決定について、「最大の問題はカジノ開業がセットになっていることだ」と指摘。交通インフラの整備など巨額の公費を投じる恐れがあると述べ、「子育てや福祉、教育を優先する府政の実現へ全力を挙げる」と語りました。
宮原府議は約2兆円といわれる経済効果の試算や国内外から約2800万人の入場者を見込んだ計画案に触れ、人口島・夢洲の埋め立てや地下鉄延伸などインフラ整備に巨額の資金が必要だと指摘。府民の中に広がる「無駄遣い」との批判を示し、「万博開催の予算があれば、現在1回500円の子ども医療費負担分(約8億円)を200年間無料にできる」「少人数学級拡充など教育予算の拡充こそ急ぐべきだ」と力説しました。
たつみ議員は、米国のカジノ業者が万博協賛企業に名を連ねていると指摘し、万博を口実にカジノ開業のためインフラ整備を進める狙いを批判。府民の命を守る防災対策の拡充や、大阪経済の屋台骨である中小企業にこそ光を当てるべきだと強調し、「カジノは必ずギャンブル依存症をつくり出す。依存症患者を増やして何が経済成長かと言わなければならない。人の不幸を土台に経済成長というのはあり得ない」と強調しました。
(大阪民主新報、2018年12月2日号より)