おおさかナウ

2019年01月13日

維新「密約」暴露
都構想破綻露わに
出直しダブル選まで言及

 大阪市を廃止して「特別区」に再編する、いわゆる「大阪都」構想をめぐり、松井一郎知事(大阪維新の会代表)は昨年末の記者会見で、公明党と交わした住民投票についての「密約」を暴露しました。これが反故にされたから、同日で知事・大阪市長の「出直しダブル選」に踏み切ることを含め、「ありとあらゆる」手段に出るとも発言。2019年の大阪の政治情勢は、4月の統一地方選と同時にダブル選が行われる可能性をはらんだ激動の幕開けとなりましたが、一連の“密約暴露劇”が浮き彫りにしたのは、「都」構想の破綻と、維新政治そのものの行き詰まりです。

ウソとペテンで塗り固めて

 浮き彫りになった一つは、「都」構想が、維新のうそとぺてんに塗り固められてきたものだということです。2011年のダブル選で維新は、「大阪市をバラバラにしません」と、府民・市民をあざむく宣伝をして、橋下徹氏が大阪市長に、松井氏が知事に当選しました。

 2015年の住民投票は、「特別区」設置の協定書に維新以外の各党が反対して「都」構想が行き詰まる中、官邸頼みの謀略で公明党の態度をひっくり返して持ち込んだもの。しかし大阪市民は「『都』構想ノー」の審判を下し、橋下氏は「政界引退」表明に追い込まれました。

 同年のダブル選では、「都」構想を選挙公報にも書かなかったにもかかわらず、松井知事や吉村洋文市長は当選すれば「再挑戦の民意を得た」とうそぶき、法定協議会では公明党が導入に熱心な「総合区」についても検討するなど「カムフラージュ」(吉村市長)して、再度の住民投票へ暴走してきました。

 法定協議会に持ち出したのは「4区特別区案」。ところが「特別区」設置のコストは庁舎建設などで最大637億円もかかることをはじめ、議論を重ねるほど矛盾や問題点が噴出しています。

 挙句の果てが今回の「密約暴露」劇。うそとぺてん、ごり押しでしか進められないということを、維新自ら告白したようなものです。

市民不在・党利党略の密約

 もう一つ露わになったのは、維新政治そのものものが、府民・市民の声に応えて動くものではなく、「何でも政局」にしてことを決するものだということです。

 松井知事が公開した公明党との「密約」(2017年4月17日)は、「今任期中で住民投票を実施すること」で合意していたというもの。かつて維新が叫んでいた「フル・オープン」で政治を動かすどころか、「密室」取引で進めようという、最も汚く、古い政治だということを、維新自らがさらけ出した形です。自らの衆院議員が選出されている小選挙区に、維新が対立候補を立てることを恐れて、維新との裏取引に応じてきた公明党の姿勢も問われます。

 維新と公明との駆け引きや「出直しダブル選」については、各紙の社説も「党利党略ではないのか」「住民不在はあらわである」(「朝日」18年12月29日付)、「首長選挙の乱用と言わざるをえない」(「毎日」同月27日付)と厳しく批判されています。

(大阪民主新報、2019年1月13日号より)

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