おおさかナウ

2019年02月10日

大阪市
学力テスト結果で校長評価
吉村市長が旗振り 新年度に試行

 大阪市が1月29日開いた総合教育会議で、府と大阪市独自の学力テスト結果を、小中学校の校長の人事評価・給与と学校予算に反映させる方針を決めました。今年度中に制度設計を進め、2019年度は試行実施で評価だけを行い、20年度から本格実施(給与への反映は21年度)するとしています。

教育条件整備なぜしない

数値目標決め競争をあおる

 評価では、府の「チャレンジテスト」(中学全学年)と大阪市の学力計年調査(小学3~6年生)の結果を使用。各学校でそれぞれの得点を年度から伸ばす数値目標を設定し、達成度で校長を評価します。教員の評価には直接反映させず、校長による教員評価に利用するとしています。

 20年度から「特色づくり」を支援する「校長経営戦略支援予算」の加算配布(1・6億円)を改編し、目標を達成した学校に配分。「特に顕著な学力向上がみられる学校」に「研究活動費」を支給するなど、学校間の競争をあおるものとなっています。さらに総合教育会議では市特別顧問の大森不二雄・東北大学教授が、「顕著な功績があった学校・校長、教職員」を対象に、昇給も含めた新たな表彰の検討も求めました。

教育委員から慎重な意見も

 大阪市の吉村洋文市長(大阪維新の会政調会長)は昨年8月、全国学力・学習状況調査(全国学テ)の平均正答率が2年連続で政令市20市中で最下位だったことを受け、全国学テの結果を校長、教員の人事評価に反映させる新たな人事評価制度を導入する考えを示しました。

 これを受けた総合教育会議(同年9月)では教育委員から「テストの対象と対象外(音楽や体育など)の教員とで公平な基準をつくれるのか」「大阪市の教員を希望する学生が逃げる危惧がある。給与の減額ではなく、どう支援するかが必要」など疑問や慎重論も出ました。吉村市長は19年度の施行実施など「スケジュールありき」で制度導入に固執。市教委が検討してきました。

 一方、大阪市学校園教職員組合(大阪市教)と大阪教職員組合(大教組)、子どもと教育・文化を守る大阪府民会議は同年9月、吉村市長と山本晋次教育長に、制度導入をやめ、少人数学級の拡充など教育条件の整備を求める緊急要請を行いました。強化制度策定中止を求める陳情署名8千筆も大阪市議会に提出されています。

(大阪民主新報、2019年2月10日号より)

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