維新府・大阪市政が新年度予算案
カジノ万博・「都」構想に固執
大阪府
大阪府は18日、来年度当初予算案を発表しました。府立学校体育館への空調設備設置や学校ブロック塀の安全対策など、日本共産党の論戦や府民要求を反映した部分もありますが、福祉医療費助成や子どもの貧困対策の予算はほぼ据え置かれるなど、全体としては府民生活を支えるには極めて貧弱です。一方で「大阪都」構想推進のための副首都推進局に4億9500万円、カジノを中心とする統合型リゾート(IR)立地推進に前年の4倍近い3億1800万円を計上します。
防災関連で予算増
一般会計は前年度比1・7%増の2兆5983億円ですが、特別会計と合わせると5兆4466億円で前年度比0・5%減。歳出では、バブル期の開発による借金返済が増え、公債費は前年から123億円増の3283億円です。国民の運動と国会論戦を一定反映した防災・減災のための国の事業の増加などで、補助事業費は47億円増の1085億円です。
歳入では個人府民税が前年度から118億円減るものの、法人2税(同221億円増)などが押し上げました。また10月の消費増税で109億円の税収増を見込みます。府債残高は6兆1552億円と前年度からほぼ横ばいです。
学校体育館に空調
災害時の避難所ともなる府立学校体育館の空調設備は、日本共産党の石川たえ府議の質問に松井一郎知事は検討を表明したもの。5カ年計画で来年度はモデルとして、館全体を冷やすのではなく、運動中の児童生徒にスポットで冷風を当てる仕組みといいます。
巨大開発に税投入
「高度な都市インフラ形成」として、地下鉄なにわ筋線に前年度の4倍の2億円、淀川左岸線延伸部に同2倍の2億円を計上。咲洲庁舎の設備改修などに11億2800万円を注ぎ込みます。
ギャンブル依存症対策は2700万円で、IR立地推進予算の1割にも満たないものです。
減債基金の積み立てに269億円を見込みます。基金残高を2024年度までに復元するとしていますが、基金残高は18年度末で1483億円を見込み、自由に使える財政調整基金も1500億円で、府民の命と暮らしを守る施策に振り分けることは可能です。
2月議会に合わせて提案される今年度補正予算案では、関空連絡鉄道の浸水対策や高槻市の大規模倒木の復旧なども盛り込みます。
大阪市
大阪市の吉村洋文市長は14日、2019年度一般会計当初予算案を発表しました。2025年の大阪万博の会場予定地で、万博と一体にカジノを核とした統合型リゾート(IR)の誘致を狙う大阪湾の埋め立て地・夢洲(ゆめしま・此花区)の基盤整備などに巨額の事業費を計上する一方、大阪市を廃止・分割する「大阪都」構想に固執し、市民生活を守る地方自治体の役割を投げ捨てようとしています。
税収は4年連続増
一般会計の予算規模は1兆8353億円(前年度比3・3%)増で、特別会計を含めた予算総額は3兆5729億円(同8・4%減)で、4年連続の増となっています。市税収入は7488億円(同4・5%増)。市民税は、納税者や企業収益の増加で3361億円(同5・8%増)、地価上昇の影響などで固定資産税と都市計画税は計3550億円(同4・6%)増となっています。
市債発行額は1480億円(同8・5%増)で、全会計の市債残高(19年度末見込み)は5064億円となっています。
夢洲整備に57億円
万博会場の建設費用は約1250億円で、大阪市は6分の1を負担。新年度予算案では1億5400万円を計上しています。IR誘致を含めた夢洲の整備に57億7300万円を計上。万博会場建設のための土地造成費用33億円、外周道路の整備、地下鉄中央線の延伸の調査費などを含んでいます。IR誘致では1億6300万円、依存症対策支援に700万円を計上しています。
巨大開発では「なにわ筋線」の事業促進2億200万円、淀川左岸線2期事業93億8900万円、同延伸部2億円など。うめきた2期事業関連で計123億800万円、国際コンテナ戦略港湾建設に46億2183万円などを計上しています。
独自テストを追加
市民生活関連ではことし10月からの消費税10%増税を前提に、上下水道料金などを11月分から引き上げる計画です。
教育関連では、中学生を対象にした府の「チャレンジテスト」で対象外となっている、中学1年生の社会・理科について、市独自のテストを実施する「大阪市版チャレンジテスト・プラス」に1500万円を計上。すでに「テスト漬け」といわれる学校現場で、子どもたちをさらに競争に追い立てようとしています。
当初予算案では市民運動と日本共産党大阪市議団の論戦で、地下街などの浸水・防水対策、南海トラフ巨大地震に備えた堤防などの耐震対策、中学校給食に対する就学援助を半額支給から全額支給への拡充(19年度2学期から)なども盛り込まれています。
(大阪民主新報、2019年2月24日号より)