おおさかナウ

2019年08月25日

「伸び代」しかない青年・学生分野
参院選後、意識アンケートに取り組んで

 日本共産党大阪府委員会青年学生委員会は、7月の参院選結果を受けて学生の意識調査に取り組みました。調査から見えてきたこと、今後にどう生かすかなどについて、同委員会の川添建真さんに寄せてもらいました。

日本共産党大阪府委員会青年学生委員会 川添建真

 今回の参院選では、日本共産党第6回中央委員会総会(6中総)決定の実践として「批判とともに希望を語る」という対話宣伝が各地で広がりました。反応は良かったにもかかわらず、選挙結果や若い世代の低投票率から、「若い世代は無関心」「保守化している」などの声が聞かれました。

府内3大学でアンケートを実施

 府青年学生委員会は学生のリアルな声を聞いて、今後の活動に生かそうと、府内3つの大学で、学生に対面でのアンケート対話に取り組み、27人から回答を得ました。
 アンケートでは、①投票先と選んだ基準、②投票に行かなかった人にはその理由、③投票率を上げるにはどうしたらいいか、④日本共産党と出会うツールや党へのイメージ・議席増のためのアドバイス、を聞きました。アンケート結果と対話の実感から学生の実態を考察します。

投票に行かなかった理由は何か

 まず、投票に行かなかったと答えたのは27人中17人でした。理由を聞くと、多くが大阪に住民票がなく、投票日当日はアルバイトやテスト勉強など予定があったことと、不在者投票、期日前投票について知らなかった、というものでした。「往復5時間かけて実家に投票しに帰るのは大変」、「成人式があるので住民票を移したくない」と話す学生など、学生の条件と選挙制度がかみ合っていないこともわかりました。投票行動が優先順位の中で高くなくても「次は選挙に行きます」という人もいました。

自民党や維新に投票した学生は

川添たつまさん

川添たつまさん

 投票に行った学生で、自民党に投票した学生は、「外交を考えた時にコロコロ首相が変わる国は信頼されないと思って」、「民主党時代に何も変わらなかった」「政治にやってほしいことはない。いい時代を知らないし、今が当たり前で、別に不便なことがない」など、積極的な支持ではなく、安倍自民党政権の異常さや、野党共闘の前進面が見えない(見えなくさせられている)現状があり、要求や願いを託して投票したわけではありませんでした。
 日本維新の会に投票した学生は、“都構想”で何か盛り上げてくれそうだという期待で投票していました。しかし、ある学生は「すべての政党の公約を見て決めたわけではなく、目に止まった偏った情報に流されている部分もあると思う」と話すなど、固定した維新支持ではありませんでした。

要求・関心に基づき立憲野党に

 それらとは対照的に、日本共産党をはじめ、立憲民主、国民民主、れいわ新選組に投票した学生は、「安倍さんには期待できない」、「改憲問題がやばいと思って」、「学費問題や消費税問題に取り組んでくれるんだと思った」、「政見放送を見て」など、自らの要求・関心から投票先を決めていました。

SNSの活用もつながりが重要

 SNSの活用についても聞くと、多くが友達との関係での活用で、政治や選挙などについて積極的に調べるような活用はしていませんでした。しかしコミュニテイの中の人が発信、リツイートした情報は目にしており、身近な人やつながりを生かした発信の重要性を感じました。
 全体的に「無関心なのか」といえば、そうではなく、投票に行った人も行かなかった人も、「みんなが投票に行くためには?」という項目に、「もっと身近に投票所がほしい」、「各政党の公約一覧を大学に設置して気軽に手に渡るようにしてほしい」、「投票所の時間が20時までじゃあ短すぎる」、「マスコミは投票が終わってから色々特集するから投票前からちゃんと報道してほしい」など真剣に意見を寄せてくれました。

学生に党の政策が届いていない

参院選中、学生とアンケート対話した川添さん=7月、豊中市内

参院選中、学生とアンケート対話した川添さん=7月、豊中市内

 今回の意識調査から、学生の多くに共産党の政策や姿が届いておらず、共産党が選択肢に入っていないことも痛感させられました。普段から、生活と政治が結びついていないだけでなく、政治は選挙で変えることができるという実感がなく、政治と選挙も結びついていないこともわかりました。大学の授業で先生から選挙の話題が上がらなかったという声も少なくありませんでした。政治を語り合う場が日常的になさすぎること、安倍政権・与党が論戦から逃げ続け、選挙で国政問題の争点を曖昧にしたこと、安倍政権に代わる魅力ある野党共闘の姿が届いていないことも実感しました。
 しかし、一人ひとりに要求を聞き、その思いにかみ合った共産党の政策が届けば、急激に有力な選択肢に入ってくるということもこの間実感してきました。「批判とともに希望を語る」「日本共産党の魅力を語り、積極的支持者を増やす」という6中総の実践として、大学門前や駅前での“お帰りなさい宣伝”で、シールアンケートなど対話宣伝に踏み出したところでは共産党への共感が広がり、響きあい、新たな支持開拓への足がかりをつかみ始めています。

日常的な対話と民青、党づくり

 学生は「どう考えたらいいのか」、「本当のことを知りたい」思いを持っています。対話宣伝を日常の活動へとさらに発展させていく必要があることを痛感しています。
 今回の調査の一番の確信は、青年・学生分野での日本共産党への支持開拓は「伸び代」しかないということです。日常的な双方向の対話の努力とともに、学び語り合え、一人ひとりの成長を保障できる民青同盟の班、共産党の支部づくりが決定的です。学生に、共産党の政策の感想や、どうしたら興味を持ってくれるかなどを率直に聞くと、問題意識を快く語ってくれました。日本共産党の魅力そのものを語ることで、共産主義への偏見や誤解から解放され、共産党の姿が新鮮に受け止められました。総力をあげて本格的な組織作りに挑戦していきたいと思います。(かわそえ・たつま)


(大阪民主新報、2019年8月25日号より)

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