参院選消えた山下票
堺市選管「調査は不可能」
7月の参院選挙の比例代表の開票結果で、堺市選挙管理委員会が、日本共産党の山下芳生氏の得票を美原区で「0」と発表したことに対し、山下氏に投票した住民が異議を唱え、全容解明と調査などを求めていた問題で堺市選管は2日、「開票は正規の手続きを経て確定した結果」だと回答。法律上、再開封できないことから調査は不可能だとしました。懇談後の会見で住民側は納得できないとし、弁護士と相談の上、今後の対応を考えると述べました。
申し入れていたのは同区在住の山口義弘さん(74)ら4人の住民。山口さんらは、7月の参院選の比例代表で「山下よしき」と書いたのに、美原区での得票が「0」と発表されたことに対し、調査を要求しました。区の選管はミスの可能性を認めながらも、公職選挙法により、いったん梱包した票は裁判所の決定なしには再開封できないと回答。その裁判も落選した議員や政党しかできないことから、山口さんらは市の選管に対し、全容解明と再発防止、公職選挙法の改正を国に求めることなどを要望していました。
2日の回答の懇談で、堺市選管の長田純一事務局長らは、「美原区の開票は、開票管理者、開票立会人のもとで正規の手続きを経て確定した結果」だとし、公選法の改正を国に求めることについても、「選挙の効力に関する異議申立を行うことができ」ることから、「選挙人の権利を著しく制限しているものではない」とし、法改正の実現は難しいと述べました。
住民側は、「投票数にはカウントされているのに、私たちが書いた山下票はなくなったのはなぜか」と述べるとともに、6年前の参院選では、美原区で山下票が88票あったことも示し、「私たち以外にも山下と書いた人がいたはず。その票は一体どこに行ったのか」とただしました。
選管は不自然さを認めながらも、裁判所の決定なしに再開封できない以上、調査もできないと繰り返しました。
引き下がるわけにいかない 住民
懇談後、会見を開いた山口さんらは、「選挙管理委員会に失望した。もっと真剣に一人一人の1票を考えてほしい」と語るとともに、「私たちの票はどこに行ったのか納得のできる説明がない。これで引き下がるわけにはいかない」とし、弁護士とも相談して今後の対応を考えたいと述べ、損害賠償請求なども選択肢の一つだと述べました。
(大阪民主新報、2019年9月8日号より)