用途地域変更を強行
夢洲 カジノ誘致へ商業地に
大阪市都計審 維新・自民・公明など賛成
大阪市都市計画審議会(会長=澤木昌典・大阪大学大学院教授)が9日、大阪市役所内で開かれました。大阪湾の埋め立て地「夢洲」(ゆめしま・同市此花区)でより高く大きな建物を造れるように、用途地域を工業・準工業地域から商業地域に変更し、容積率を100~200%緩和する議案などが、維新、自民、公明の大阪市議や学識経験者の委員による賛成多数で可決されました。カジノを核とした統合型リゾート(IR)が夢洲で開業できるようにするためのもの。日本共産党の井上浩議員は反対しました。
府・大阪市などは「夢洲まちづくり構想」(2017年8月)で、夢洲の中央部を「観光・産業ゾーン」と位置付けて段階的に整備する計画を打ち出しました。北側区域(約70㌶)は第1期として、IRや大規模展示場、商業・飲食施設などを整備。25年大阪万博の開催予定の中央区域(約60㌶)は第2期として、万博開催後に第1期の集客機能などを拡充し、南側区域(約40㌶)は長期滞在者用の機能などを整備するとしています。
今回の用途地域の変更は、第1期・第2期の区域を中心とした約143㌶が対象。「国際観光地区」として特別用途地区に新規指定する議案や、夢洲内の環状道路や下水道などインフラ整備のための議案も賛成多数で可決されました。
〝カジノのための変更〟
井上市議が反対 災害に弱く有毒物質も
既存商業地域の活性化こそ
日本共産党の井上議員は質疑で、万博自体は用途地域を変更しなくても開催できるものであり、今回の変更は府・市政が「成長戦略」の眼目としているIRを誘致するためのものだと強調。埋め立て地である夢洲の広大な区域を新たに商業地域にするのではなく、大阪市内の既存の商業地域の活性化にこそ、力を注ぐべきと主張しました。
昨年9月の台風21号では関空が冠水し、夢洲でも護岸の一部が高潮によって破壊され、暴風でコンテナヤードのコンテナが多数倒壊したと指摘。人工島である夢洲は地盤沈下や、地震・津波、台風や高潮の被害が懸念されると同時に、地中には高濃度のダイオキシンも埋め立てられているなど、数々の問題点を挙げました。
さらに井上氏は、用途地域の本来の趣旨は、将来のあるべき土地利用の姿を実現する一手段であるとともに、良好な都市環境の保全・育成に努め、都市の健全な発展と秩序ある整備を図ることにあると力説。一連の議案に反対しました。
(大阪民主新報、2019年9月15日号より)