府民の要望 府議会へ
共産党府議団が懇談会
26日に開会
26日に開会される9月大阪府議会を前に、日本共産党府議団は18日、各団体との懇談会を開き、府内21団体から38人が参加。府議団から石川多枝団長と内海公仁政調会長が参加しました。
懇談会では、石川団長が、府政をめぐる情勢と9月議会の特徴を報告。「大阪都」構想と万博、カジノを中心とした統合型リゾート(IR)推進に邁進する一方で、府民の生活を振り返る視点は全くないと、吉村府政を批判し、府民生活切り捨てを許さない運動を共に進めていく決意を述べました(別項に報告大要)。
各団体から要望が出されました。
補聴器補助
年金者組合府本部は、補聴器の現物支給や補助制度を求めました。加齢による難聴で苦しむ人が増えていますが、補聴器は高額で、購入費用の一部を負担する自治体も増えてきています。
きょうされんは、障害者への医療費助成が必要な人に行き届いていないとして、対応を求めました。
汚染水放出
母親大会連絡会は、原発汚染水を大阪湾へ放出することもあり得ると松井一郎大阪市長が発言し、吉村知事も同調していることに対し、「多様性のある海が汚染されてしまう。やめてほしい」と訴えました。
文化的貧困
文団連は、大阪の中心部で劇団やオーケストラが公演するホールが失われ、「文化的貧困だ」と指摘し、議会陳情への協力を要請しました。
テスト漬け
大教組は中学チャレンジテストについて、学校ごとに生徒に付けられる成績の枠を決める仕組みが、中学校間の格差を拡大し、中1からの導入で「固定化を生む」と警鐘を鳴らしました。
国民救援会や大商連などからも多くの要望がありました。
内海府議は「巨大開発を進める勢力とたたかい、府民の要求を前に進めたい」と決意を述べました。
府民の生活を顧みない府政
力合わせて府民要求を前に
共産党府議団懇談会 石川団長の報告(大要)
18日に開いた日本共産党府議団の懇談会で石川多枝団長が行った報告(大要)は次の通りです。
「都」構想へひた走る維新
9月議会の特徴は、府民の生活を振り返る視点は全くなしで、「大阪都」構想と万博、カジノを中心とした統合型リゾート(IR)推進に邁進する点です。
加速する府市統合案件
堺市が副首都推進本部会議に参加したことで、府と大阪市に堺市も含めた「統合案件」が加速しています。
堺市長は8月27日の会議から参加し、早速、府が進めるベイエリア開発に堺市も協力すると表明しています。
また泉北ニュータウンの再開発も掲げました。ニュータウン内の大蓮公園の管理運営を、民間に施設整備や公共サービスの提供を委ねるPFI制度にすることや、府営住宅建て替えで空き地をつくり、近畿大学医学部病院を誘致すること、港湾の一元化、府大と大阪市大の統合などが、次々と加速しています。
港湾の一元化は、国際競争力の強化などと説明しますが、結局はベイエリア全体を開発していくために必要ということです。水道の一元化もこれから具体的な検討が始まります。運営権を民間に設定するという方向は、止めなければなりません。
大学統合は昨年、法人の統合が行われ、一気に加速しています。
森之宮に中心となる約1千億円のキャンパスをつくるといいます。なるべく民間資金を活用するとしていますが、具体的にどれほどの税金が投入されるのかについては明らかにしていません。
羽曳野キャンパスは廃止、中百舌鳥と杉本町のキャンパスは当面残りますが、今後の見通しは全くありません。大学の教員も多忙化していますが、評価制を導入して、低評価の教職員は配置転換するということも、計画の中に書かれています。
住民サービスが低下する
大都市制度では、「大阪都」構想の経済効果が8月26日の法定協で報告されました。山中智子大阪市議は、「特別区にしても職員や行政運営のコストが増え、住民サービスは低下する」と警鐘を鳴らしています。この「都」構想が「副首都」大阪の機能を支える制度だとしていること自体に、大きな問題があります。
財源が足りなくなれば、削られるのは住民サービスです。
2025年の大阪万博の前にIRを開業しようと、法的ルールも無視した動きが急速になっています。国の基本方針案が公表される前に、大阪は事業者コンセプトの募集を開始し、国もこれを追認しました。
9月議会では、府と大阪市が共同で環境アセスメントを先行する予算7200万円が計上されます。環境アセスメントは事業者が行うのが基本ルールですが、事業者決定後では2024年度に間に合わないからです。事業者募集は年内に開始し、来春には決定するというスケジュールです。
さらなる大型開発に
公共交通戦略の見直しとして、さらに巨額の税金を投入する公共事業をやっていこうという姿勢があらわになっています。
地下鉄なにわ筋線などに続いて、十三経由で新大阪と北梅田を結ぶ「なにわ筋連絡線・新大阪連絡線」などが検討されています。すでに阪急線も御堂筋線も通っており、新線は必要はありません。
カジノいらないの審判を
府は「ギャンブル等依存症対策推進計画」をつくるとしていますが、間尺に合いません。
ギャンブル等依存症が疑われるのは4万8千人(過去1年間)ですが、依存症の治療を受けたのは370人(17年)しかいません。
昨年は、府教育委員会は、高校生にギャンブルを「娯楽です」と紹介するパンフレットを配りました。今の府のギャンブル依存症対策は、カジノの危険性を隠すためのものと言わざるを得ません。
医療機関や相談機関などとの連携をいくら言っても、IRは依存症を生み出すカジノ頼みです。24年の開業を止めるだけでなく、大阪にカジノはいらないという審判を下していく必要があります。
府民生活切り捨て次々と
府民生活が切り捨てられています。
国民健康保険(国保)料は軒並み値上げになっています。府が国保料府内一本化に向けて、市町村に独自補助をやめるよう押し付けている結果です。市町村が負担しなければ、加入者の負担になってしまいます。
一方で、国保料一本化は、府の狙い通りには進んでいません。値上げを止められるかどうかは、これからの運動次第です。
児童虐待の相談対応件数は5年連続1位です。根本的に解決する方策は全く提案されていません。児童福祉司の数は国基準の6割にも満たず、国基準までの増員に8年もかけます。すぐ増員すると同時に、NPOに協力を求めることも含め、児童虐待対策に本気で取り組むべきです。
35人以下学級をやっていないのは全国で3府県だけ。しかし府にはやる気がありません。
「中学生チャレンジテスト」を悪い方向へ見直し、小学生から子どもたちを競争へ駆り立てます。
府大・大阪市大の学費「無償化」を発表しています。府内に3年前から在住していることなど条件が厳しく、多くの学生の願いに応えるよう改善が必要です。
消費増税で、複数税率に対応するレジが導入できない、価格転嫁ができないという悲鳴が、中小零細事業者から起きています。府と大阪市は4月から大阪産業局を立ち上げて、中小企業支援予算を交付金化したことで、何にお金が使われるのか分からなくなってしまいました。
老人医療費助成は来年度末で、激変緩和措置が終わり廃止になります。地震で倒壊の危険のあるブロック塀の撤去は、遅々として進んでいません。
議会改革検討協議会から、共産党など少数会派が締め出されています。税金から議員の出張に手当を出したり、選挙活動もできる公設秘書を雇えるようにすることまで検討されようとしています。「身を切る」どころか「身を肥やす」改革です。
(大阪民主新報、2019年9月29日号より)