大阪市廃止・分割の「都」構想
維新・公明「住民投票ありき」で暴走
「大阪市つぶすな」草の根から
明るい会・よくする会が運動強化
大阪市を廃止して「特別区」に分割する、いわゆる「大阪都」構想をめぐる情勢が緊迫しています。26日の法定協議会で「特別区」の制度案の基本的な方向性について起立採決を狙う大阪維新の会。松井一郎代表(大阪市長)は、再度の住民投票の日程を来年11月上旬とすることで公明党と協議する考えを表明(16日)しました。制度案のでたらめぶりが明らかになり、「住民投票ありき」で「都」構想推進派が党利党略で暴走する中、明るい民主大阪府政をつくる会(明るい会)と大阪市をよくする会(よくする会)は、「大阪市をつぶすな」の世論と運動を広げようと全力を挙げています。
制度案のでたらめいよいよ明らかに
法定協議会
4月の知事・大阪市長選、議員選を受けて再開された法定協議会で、維新は「都」構想賛成に転じた公明党を巻き込み、多数の力で「特別区」の制度案の議論を強引に進めてきました。これまで「特別区」の区割りや名称、議員定数や財政調整制度などについて、公明党の意見を受け入れつつ、維新主導で次々に確認。10月には「特別区」に新庁舎を建設せず、現在の大阪市役所本庁舎を共同利用するという「合同庁舎」案まで浮上しました。
基本的な方向性について議論する最後の場となった10日の第30回法定協では、「将来の庁舎整備経費」も示されました。日本共産党の山中智子大阪市議は、独立した地方自治体とは言えない「合同庁舎」案を前提にしたもので、「特別区」が主体的に庁舎建設を決めることもできないと指摘。「『特別区』なんてどうでもいいということが、ますます明らかになった」と強調しました。
また公明党の要望を受けて、「住民サービス維持」のために府が「特別区」に10年間、毎年20億円を配分する案も追加提案されました。山中氏は「上乗せしなければ『特別区』の財政がしんどいことを認めたもの」と強調。財源も明らかでなく、「特別区」設置に伴う53億円の運営コスト増にも足りないとし、「住民サービスの低下を危惧せざるを得ず、市民の理解は得られない」と断じました。
満員の市政報告会
城東区で
日本共産党の山中智子大阪市団長が15日、地元の大阪市城東区内で開いた市政報告会には、会場いっぱいの約100人が参加しました。
山中氏は、松井市政が、カジノ誘致に前のめりになると同時に、市立高校の府への移管など大阪市の仕事を投げ捨てようとしていると批判。市財政は30年連続の黒字で借金も14年連続の減少し、明るい兆しが見えているとし、「今こそ災害に強く、すべての市民に優しい街へ、大阪市の力を発揮できる。カジノに夢中になっている場合ではなく、制度いじりの暇もない」と語りました。
「特別区」は街づくりの権限や主な税収を府に取り上げられた半人前の自治体だと指摘。自主財源は減る一方、庁舎建設などの初期コストや職員増などで運営コストが増え、住民サービスは削らざるを得ないなど「百害あって一利なし」と指摘しました。
法定協議会では、突然提案された「合同庁舎」案の審議がわずか24分で打ち切られるなど、支離滅裂な運営が続いていると述べ、「『大阪市をなくしたらあかん』『ひどいことになる』という対話をあちこちで、大急ぎで広げましょう」と呼び掛けました。
路地裏宣伝で訴え
北区で
よくする会北区連絡会は15日、「大阪市をつぶす都構想アカン」のパネルを掲げて、大阪市北区の天神橋筋商店街に近い住宅地で路地裏宣伝に取り組みました。明るい民主大阪府政をつくる会のパンフレット「OSAKAの未来をつくろう(未来づくりパンフ)」を配りながら、「政令市の力を生かしてこそ、住民サービスが守れます」などと訴えました。
連絡会は、区内のすべての町会長に同パンフを届けて対話する活動も始めています。これまでに75人の町会長を訪問、「来てくれたことは(町会の)みんなに伝える」「資料を届けてくれたら配りたい」などの反響も出ています。
連絡会の松岡隆司事務局長(67)は、「自民党市議に『維新に取り込まれるな』とはっぱを掛けているという町会長さんもいます。大阪市つぶしを許さない世論を地域から広げたい」と話します。
(大阪民主新報、2019年12月22日号より)