小学校統廃合を条例化
大阪市総合教育会議 住民の意向を無視
大阪市教育委員会は15日、松井一郎市長と教育委員で構成する総合教育会議を開き、「学校配置の適正化」を進めるとして、1校当たり11学級以下の小学校の統廃合を教育委員会主導で進めるための条例を定めることを確認しました。2月市議会に条例改定案を提出する予定。条例制定は、小学校の統廃合を巡る保護者や地域住民との合意形成を放棄し、条例で統廃合を強行しようというもので、各界から批判と抗議の声が上がっています。
維新の教育壊し・町壊しさらに
同会議では、「学校配置の今後の進め方」について、「生野区西部地域学校再編整備計画」の具体例として、2022年度4月に、生野中学校区と田島中学校区に新学校を開校することが提案されました。住民にはこれまで説明されていなかった義務教育学校(小中一貫学校の1つ)を生野中学校区に設置するという内容も入っています。
同計画は、生野区西部地域の小学校を12校から4校、中学校を5校から4校に統廃合するというもので、16年に出されていましたが、区内の保護者や地域から再考を求める署名や陳情が繰り返され、19年4月の新校開校の計画はストップしていました。大阪市教委は市議会で、「地域、保護者の合意抜きには統廃合は行わない」としてきました。
維新大阪市政の小学校統廃合計画についての次の2氏から談話が寄せられました。
理不尽な統廃合はやめよ
日本共産党府文教委員会責任者 小林裕和さん
一、大阪市総合教育会議(市長と教育委員で構成)は15日、同市立小学校の統廃合を促進することを確認しました。大阪市は2月市議会に、「学校配置の適正化」を進めるとして、関連条例改定案を提出する予定です。学校統廃合を促進する条例化は全国でも異例です。
一、維新市政による大規模な小学校統廃合計画は、学校関係者や地域住民の強い反対の声に押され、思いどおりに進んでいません。理不尽な統廃合計画はやめるべきです。
統廃合計画は、大阪市を廃止・解体する「大阪都」構想と一体です。学校統廃合を促進する安倍政権による新自由主義的「教育改革」の具体化です。
一、小学校の学校規模は100人程度、「小さな学校」が世界標準です。小規模校では、一人ひとりの子どもに教師の目が行き届き、子どもたちがよく知り合い人間関係も深まり、子どもの成長・発達にとって教育的な価値をもつとされます。小学校は地域コミュニティーの発展に必要です。
学校の統合は子どもの教育にとってどうなのかを第一に考え、学校関係者と地域住民の間での十分な話し合いと合意が必要です。
いま大阪市の教育行政に求められるのは、35人学級を小中学校全学年に広げるなど、教育条件の抜本的な改善です。
日本共産党は、学校関係者や地域住民と共同して、小学校の存続・発展にむけた取り組みを促進します。
やるべきは教育条件整備
大阪市学校園教職員組合委員長 宮城登さん
学校が統廃合されると、いま1学級20数人(以下もある)が35人、40人になります。子どもの足では通学に40分かかる地域も生まれ、低学年の交通事故が心配です。校区が広がり見守り活動も困難に。避難所も無くなり、学校施設を利用した生涯学習もどうなるのか。学校が近いので引っ越してきたという人もいます。なくなれば人口減少に拍車がかかるでしょう。
生野区では学校統廃合問題で保護者、地域に不安が広がる中、統廃合ありきではなく再考をと懇談会を開催。「子どもたちは地域の宝」「住民合意抜きで小学校つぶしたらあかん」とポスターが区内に張られています。住民の運動が新校開校2019年4月の当初計画を許していないことに焦った市長が、条例制定で強行しようとしています。
維新市政の狙いは、統廃合で学校や教職員数を減らし教育予算を削減すること、跡地の民間活用です。安倍政権の「地方創生総合戦略」―「公的不動産と民間活力の有効活用」を進めることであり、地域で育つ子どもや教育のことを考えているとは思えません。
区内の小学校でそろばんを教えている町会長さんが、「20人だとひと目で見られて指の動きも見て指導できる」と言われたように、大阪市がやるべきことは少人数学級実現、行き届いた教育の条件整備を行うことです。
(大阪民主新報、2020年1月26日号より)