大阪府大・市大「統合」やめ
存続・発展へ共同拡大こそ
大阪市議会は21日、松井一郎市長が提出していた府立大・市立大「統合」関連議案(中期目標変更等)を、維新・公明の賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。大阪府(吉村洋文知事)は、同趣旨の議案を25日開会の府議会に提出しました。
昨年4月に両大学を運営する法人が統合され、公立大学法人大阪として新設されたのに続いて、2022年4月に新大学発足をめざす方針です。大阪市を廃止する構想と一体の大学「統合」計画です。
公立大学法人大阪は昨年8月、「新大学基本構想」を公表しましたが、維新政治は「選択と集中」が前提だとして、大学法人に対して統合・再編(リストラ)を強く求めました。これをうけた大阪府戦略本部会議(1月16日)で、大阪府・大阪市・公立大学法人大阪の3者による「新大学基本構想」(案)が示され確認されました。ガバナンス(統治)を強化し、「選択と集中」による学部等の設置を明記しています。
維新政治による「大学改革」と府民・大学関係者との矛盾は深刻です。
同構想が打ち出す森之宮新キャンパス計画(1000億円規模)について、大学関係者からは「大学を大規模な開発に利用するものだ」「さまざま無理があり時間割が組めないかもしれず、学生や教員の不便ばかりが目立つ」との批判や危惧の声が上がっています。
両大学の卒業生らでつくる「大阪府立大学問題を考える会」と「大阪市立大学の統合問題を考える会」は4日、「大阪市立大学と大阪府立大学の『統合』中止を求める陳情」を市議会議長に提出しました。「大学改革は、広く府民・市民の意見を聞き、教職員・学生・院生ら大学関係者の民主的議論と合意にもとづき、また『建学の精神や伝統』『大学の自治』を尊重して行われるべき」だと述べています。
日本共産党の井上浩市議は21日の市議会本会議で、「統治の発想で大学の将来を強引に決めてしまうやり方は認められない」と主張しました。
いま大阪府・市がやるべきは大学運営費交付金の増額による教育研究条件の抜本的な改善です。府大・市大「統合」計画を中止し、府大・市大の存続・発展にむけた府民・市民共同を広げることが求められます。
(小林裕和・日本共産党大阪府委員会常任委員)
(「しんぶん赤旗」2020年2月28日付)