新型肺炎 教育、産業、市民生活を直撃
一律休校で学校も家庭も大混乱
日本共産党 感染対策・営業支援に全力
新型コロナウイルス・肺炎を巡る問題や対策が、大阪の教育、産業、市民生活を直撃しています。感染拡大を防ぐためとした安倍晋三首相の独断による要請で、2日から大阪でも小中高・特別支援学校が一律休校となり、教育現場や家庭が大混乱。症状が出ても検査が受けられない人、観光業や商店なども売り上げが激減するなど、影響は深刻です。日本共産党大阪府委員会は「新型コロナウイルス関連対策本部」(辰巳孝太郎本部長)を設置。党府議団は、打撃を受ける分野への支援策など求め、吉村洋文知事に第2次申し入れを行うなど対策に全力を尽くしています。
突然のお別れ 泣き崩れ
一律休校に困惑と批判の声
「先生!在校生の皆さん!本当にありがとうございました」。2月28日午後、府北部にある公立小学校の体育館。6年生が入学以降の思い出や、世話になったすべての人への感謝を伝える「巣立ちの言葉」が響き渡りました。
政府による突然の臨時休校の要請で、年度内「最後の授業」を迎えたこの日。午後に予定していた卒業式の学年練習を変更し、急きょ「仮の卒業式」を行いました。
卒業証書授与も紅白幕もない「式典」を見守ったのは、学級担任を含む教諭ら約10人。すすり泣きが広がり、泣き崩れる級友の肩を支え合う姿もあり、卒業生全員による『旅立ちの日に』の合唱と校歌斉唱が行われました。
「3月は子どもにとっても教員にとっても特別な時期。突然の休校方針は教育現場の営みを破壊するもの」――首相の独断による休校要請について、学校現場からは厳しい批判が出ています。
ある小学校では、インフルエンザで学年閉鎖のまま臨時休校に。4月8日の新学期開始まで各家庭も負担を強いられることになり、「給食がなくなり、家庭で十分食事が確保できるか不安な児童もいる」(教員)、「1人で留守番できない子どもを置いて仕事に行けない」(保護者)などの声も聞かれました。
一斉休校初日の3月2日、大阪市中央区の難波宮跡公園には、小学生らの姿がありました。午後3時すぎ、4年生と1年生の息子が遊ぶのを見守っていた30歳の女性は、「スーパーで働いていますが、子どもだけでは不安なので、午前中だけ仕事をして来ました。時給なので働かない分は収入がなくなる。学力低下が問題と言われながら、うちのように塾にも行っていない子はどうなるのか」と話していました。
2月27日夕方、大阪市の学校臨時休校の「速報」が、インターネットのメッセージサービスで、保護者の間を駆け回りました。学校や学童保育、保育園などへ子どもを迎えに行く時間帯に、政府の休校要請も知らされました。
市内の民間保育園に、次女(3)を迎えに来たシングルマザーは、「(小学1年生の)長女が通う放課後デイサービスも臨時休業。全く仕事に行けなくなった」と、呆然と話しました。
同市住之江区で小学4年生の長男(10)と小学1年生の長女(7)、保育園に通う次男(5)を育てる夫婦は、夫が週1回、有給休暇の消化を決めました。「政治家が勝手に決めて。これがどれだけ大変なことか分かってもいないのだろう」と妻は怒ります。
宴会全部キャンセル
産業への影響も深刻です。大阪商工団体連合会には、「3月の宴会予約がすべてキャンセル」(居酒屋)という事態をはじめ、すべての料飲業で客が激減しています。「中国から資材が入らない」など、売上減少、仕事が止まる、廃業するなどの声が、相次いで寄せられています。大商連は、緊急支援を求める要望書を知事に提出しました。
大阪市内に本社を置くイベント会社では、企業の新入社員入社式をはじめ各種イベントが相次ぎ中止。管理する文化施設の予約解約に伴う返金、窓口業務の社員の子どもの学校閉鎖に伴う出勤シフトも調整がつかず、「これが続けば経営は極めて危機的になる」と会社役員が話します。
検査が受けられない
新型コロナウイルスに感染しているかどうかを調べる「PCR検査」については、政府が一般の医療機関で受け入れるなどの対策の基本方針を決定しました。 ところが、特有の症状が出て、受診した医療機関から保健所に連絡しても、PCR検査をしてもらえないなどの例が相次いでいます。
「お客さんが出控えている」
「資金繰りの見通しが暗い」
店主ら小川氏・宮本氏に切実な声
中央区の大阪市議再選挙(13日告示、22日投開票、被選挙数1)に立候補表明している日本共産党の小川陽太前大阪市議は1日、同党の宮本岳志前衆院議員らと同区の空堀商店街で、新型コロナウイルスや消費増税の影響などについて実情や要望を聞きました。
商店主からは、「電車に乗って来ていた常連のお客さんが、出控えている」(美容院)、「海外のお客さんが軒並みキャンセル」(ゲストハウス)との訴えや、「資金繰りの見通しが暗い」「消費増税後、お客が減っている」などの声が続出しました。
小川、宮本両氏は、寄せられた声を大阪市政や国政に伝え、営業や暮らしを守るために一緒に頑張りたいと話しました。
(大阪民主新報、2020年3月8日号より)