おおさかナウ

2020年03月14日

新型コロナ 対応に追われる現場
日本共産党が訪問、聞き取り
国・自治体は市民に寄り添え

 新型コロナウイルス感染症問題を巡り、一律休校による混乱、雇用・労働・経済、市民生活への深刻な影響が広がり、各分野で関係者が対応に追われています。日本共産党は宮本岳志前衆院議員、辰巳孝太郎前参院議員・党府委員会新型コロナ関連対策本部長を先頭に現場や関係機関などを訪問。実態を聞き、声を届けています。

子の生活と親の就労支える
学童保育所 関係者が必死の努力

学童保育の現状を聞く宮本、北山の両氏=5日、大阪市西淀川区内

学童保育の現状を聞く宮本、北山の両氏=5日、大阪市西淀川区内

 新型コロナウイルス感染対策とした全国一律休校要請が、学童保育の現場にも混乱を生んでいます。こうした中、親たちの就労と子どもたちの居場所と安心・安全の生活を守ろうと指導員の体制確保や衛生対策など、関係者の必死の努力が続いています。学童保育が重要な社会インフラとしての役割を担えるよう、財政措置や条件整備など、国による支援策の拡充が求められています。
 日本共産党の宮本岳志前衆院議員(衆院近畿比例候補・大阪5区候補)、北山良三元大阪市議らは5日、大阪市西淀川区内で関係者と懇談しました。

2時間おきに消毒作業実施

 「準備期間もないままでしたが、開所できました」――2月29日から区内5カ所の学童保育を開所する「がんばれ学童」の常勤指導員、伊藤真美子さんが語ります。
 各施設は午前8時から午後7時半まで開所し、子どもたちは勉強や外遊び、読書やゲームなど普段通りの生活を送ります。感染予防のため、2時間おきに手すりやドアノブ、電気スイッチからおもちゃ棚などの消毒作業を実施。「感染予防に全力を尽くしますが、それでも不安は尽きません」と伊藤さん。

人件費・施設運営ギリギリ

 「学童という居場所があって、日々笑顔で接してくれる指導員に、感謝の気持ちでいっぱい」。そんな感想が保護者から寄せられる一方で、「開所には指導員が最低2人は必要なのに、国の交付金加算は不十分な金額で算定基準が疑問。いつもより6時間も早く開けてもらっているのに」(保護者)と疑問の声が上がっています。
 長時間の開所に対応するため、指導員は時差出勤。伊藤さんは、長時間勤務で指導員が体調を崩すケースや、子どもたちがストレスを重ねている現状を語り、「突然の対応でマンパワーも足りず、1日10時間ほど働いてもらう日もある」「ダブルワークをしている指導員にも負担をかけ、倒れないかと不安なことだらけ」など、他の施設の指導員の悲痛な声を紹介しました。
 国の追加交付金では新たに指導員を補充できないとし、「マスクや消毒液確保など、行政の支援が必要」と述べました。

人権費などに交付金を追加

 全国一律の臨時休校に伴う学童保育の開所を巡り、朝から開所する施設の人件費などについて、厚生労働省は1施設当たり日額1万200円の交付金追加を決めていましたが、さらに2万円を追加すると発表しました。
 学童の現場からは、「保護者や学童保育の負担が増えて大変」など悲鳴の声が上がっています。
 日本共産党の畑野君枝、宮本徹の両衆院議員は、文部科学委員会と厚生労働委員会で財政措置の増加を要求し、「必要に応じて追加措置を検討する」との答弁を得ました。

「家に子ども独りの時も」保育士

 学校や幼稚園が休校になって1週目の9日、各地の公園では、親子連れが目立ちました。
 大阪市内の公園にいた小学6年の長男(12)と幼稚園児の次男(6)を連れた母親は、夕方に疲れた顔で「夏休みよりも大変。でもまだ(休校は)始まったばかりなんですよね」とうなだれました。
 全国より早く休校に入った大阪市内の小学校では、最後の登校日だった2月28日に渡された保護者向けの通知には、休校中は医療従事者のみ学校で子どもを預かると記されていました。その後、市が医療従事者でなくても、家庭で子どもを見られない場合は預かるとの姿勢を示しましたが、市内のある学校では、ウェブサイトと玄関にその通知が掲載されたのみで、保護者に直接知らされていません。
 一方、保育園や学童保育は子どもを受け入れています。「休ませると生活リズムが崩れて、保護者に負担もかかる。できるだけ保育園は預かる。ただ、同じ子どもなのに、なぜ幼稚園と保育園で対応が分かれるのか」と、大阪市内で働く保育士の河崎和哉さん(36)=大阪市都島区在住=は疑問を口にします。
 河崎さんはこの1週間、小学1年生の長男(7)を家に独りにした日も。「保育職場は休めないので、他人の子を預かって自分の子はほったらかしになる」と話します。
 河崎さんが勤務する社会福祉法人運営の「どろんこ保育園」(大阪市住之江区)では、2週間前に注文した消毒液が、週末に納品されました。マスクの在庫は残り2枚。不足分を職員が持ち寄り対応しています。

労働者・事業主から相談相次ぐ
辰巳・宮本氏ら 大阪労働局で聞き取り

労働局から聞き取る辰巳、宮本氏ら=9日、大阪市中央区内

労働局から聞き取る辰巳、宮本氏ら=9日、大阪市中央区内

 日本共産党大阪府委員会の辰巳孝太郎副委員長(前参院議員)と宮本岳志前衆院議員(衆院近畿比例候補・大阪5区候補)らは9日、大阪市中央区の大阪労働局で、新型コロナウイルス感染症対策を巡り、雇用・労働分野の影響や相談事例などについて聞き取りました。
 大阪労働局は2月14日に相談窓口を開設し、今月5日までに2038件の相談が寄せられたといいます。内訳は労働者242件、事業主1366件、社会保険労務士や経済団体など430件。

感染関連で倒産のケースも

 懇談の席上、辰巳、宮本両氏はパート労働者への賃金補償などの事例について対応を確認しました。
 応対した大阪労働局の油谷孝行雇用環境均等部企画課長らは、相談内容は休業等24・4%、雇用調整助成金38・2%、小学校休業等対応助成金24・4%だったと紹介。感染症拡大の関連倒産のケースもあるとしました。

予約キャンセル続発
ホテル業界団体を訪問

金沢理事長らと懇談する、宮本氏と辰巳氏=5日、大阪市北区内

金沢理事長らと懇談する、宮本氏と辰巳氏=5日、大阪市北区内

 日本共産党の宮本岳志前衆院議員(衆院近畿比例・大阪5区候補)と辰巳孝太郎前参院議員は5日、大阪市北区の全日本ホテル旅館協同組合を訪ね、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を聞きました。
 応対した金沢孝晃理事長は、「予約キャンセルが続いて億単位の額に上っている」「国内団体客のキャンセル傾向が続くなど3~5月まで厳しい状況」などホテルや旅館の苦境を示し、「商売にならない厳しい状態です」と語りました。
 ホテル勤務の客室清掃員らが自宅待機を命じられている現状にも触れながら、3月末オープン予定のビジネスホテルの従業員募集に応募が殺到した事例を紹介しました。「国民が災難に遭っているときに国が金利0%の融資など支援策を打ち出してほしい」と述べました。
 宮本、辰巳両氏は「政府の後手後手の対応が国民の不安を高めている。無利子・無担保・保証人なしの融資実現や雇用調整助成金の対象拡大などを求めていきたい」と語りました。

(大阪民主新報、2020年3月15日号より)

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