新庁舎でコスト555億円増
府議会総務常任委 宮原府議団長が追及
大阪府議会に提案された、大阪市を廃止・解体して特別区を設置する「大阪都」構想の「協定書」について、14日の総務常任委員会で日本共産党の宮原たけし議員が質問に立ち、3つの特別区は庁舎建設で計555億円もの借金を抱えてスタートする問題などを追及しました。
なにわ筋線・カジノは止めよ
すべて借金で
「協定書」では5つの特別区のうち、「東区」・「南区」・「中央区」では新たに庁舎を建設する計画。昨年8月に大阪府・大阪市特別区設置協議会(法定協)に示されたパッケージ案では、特別区では新庁舎を建設しないとしていましたが、維新の会が反対派をすべて排除して単独開催した7月の法定協で、突然決まったものです。
用地費を含む庁舎建設費は、「東区」(敷地面積約1万2千平方㍍)が117億円、「南区」が(同約1万7千平方㍍)、「中央区」(同約3700平方㍍)が95億円。全額借金でまかなうため、利子を含めると3区合計で555億円に上ります。
宮原氏は、建設費はすべて特別区の負担であることから、「3つの区は借金を抱えてスタートする。急に出てきた話だが、住民には何も知らされていない」と強調しました。
全国に例ない
「協定書」では、国民健康保険や介護保険など約100もの事業を一部事務組合で実施。事業費の規模は6千億円以上に上ります。宮原議員は、これほど大規模な一部事務組合には全国にも例がないと強調。一部事務組合の議員定数をただしたのに対し、府側は「具体的には『協定書』に記載せず、想定していない」と答えました。
宮原議員は、全国の例から知事、5人の特別区長、各特別区から1~2人で計20人程度となるとし、「国保や介護などに住民の目が届かない。住民自治の後退だ」と批判。府側が「事業構成団体の議員から選出され、間接的に運営されている」と説明したのに対し、「住民からみれば二段階になる。住民から非常に遠いところに大事な行政が行ってしまう」と述べました。
カジノやめよ
「大阪都」構想の「成長戦略」について宮原議員は、うめきた開発(2期)やなにわ筋線、関空リニアなどの開発事業は大阪経済の活性化に役立つどころか、失敗したりんくうタウン事業など、かつての「呼び込み型」開発の二の舞になると指摘しました。
橋下徹大阪市長や松井一郎知事が誘致を狙うカジノについて、「庶民から金を巻き上げて事業者がもうけるもので、福祉や教育、製造業の雇用・経済効果とは異なる。そんなことで活性化を目指すのはやめるべきだ」と力説。集中豪雨や南海トラフ巨大地震の災害対策を強め、福祉や医療、新エネルギー分野で府が広域的役割を果たすことこそ必要だとしました。