暮らしと営業は危機に
ためらわず財政出動を
新型コロナ対策の抜本強化を
日本共産党大阪府議団 石川多枝団長に聞く
新型コロナウイルス感染症の拡大から府民の暮らしや営業を守るために、府政に今何が求められているのか。吉村洋文知事に抜本的対策の強化を求めて3次にわたって緊急申し入れを行ってきた、日本共産党大阪府議団の石川多枝団長に聞きました。
――政府が緊急事態宣言を発令したのは7日。府議団はその前日に第3次の緊急申し入れを行いました。
先行き見えない苦境に立たされ
石川 第1次(2月3日)、第2次(2月28日)の申し入れを踏まえて、府が「自粛と一体で補償を行う」との立場で、感染防止・医療体制整備と、暮らし・営業・子どもへの緊急支援に総力を挙げて取り組むよう求めました。
吉村知事は緊急事態宣言に基づく緊急事態措置で、外出自粛やイベント開催の自粛を要請し、13日には休業要請にも踏み切りました。感染防止へ必要な行動を求めることは当然ですが、すでに多くの府民と子どもたち、事業者の皆さんが生活と行動、営業を制限され、収入を断たれ、先行きが見えない苦境に立たされています。
これまでの申し入れの内容で、PCR検査の実施を民間検査機関にも要請することや、軽症者を宿泊施設に公費で受け入れることなどは、府の対策にも実りつつありますが、第3次で申し入れた37項目の緊急実施を、今こそ求めたいです。
――対策の中で特に強調したいものは。
緊急に取るべき措置が各分野に
石川 第1に、感染拡大防止に向けた医療・検査体制の強化です。PCR検査については民間への要請も大事なことですが、府内各保健所に検査機を1台ずつ設置するなど機能強化が急がれます。いま検査オーダーを行えるのはあくまで保健所。府内の検査能力を引き上げるとともに、人員と専用電話回線を増やすなど、保健所へのバックアップを急がなければなりません。
第2に、暮らし・営業の危機への緊急支援で、決定的なのは補償。府は休業要請を行いましたが、補償はありません。家賃・地代、水光熱費やリース代など固定費への助成が欠かせません。
中小事業者の皆さんは、将来の返済を考えて融資を受けるかどうか悩んでおられます。府の「新型コロナウイルス感染症対策資金」と「緊急資金」は保証料と利子を補填し、無利子・保証料無料の制度とし、据置期間や融資期間も伸ばすことで、少しでも借りやすくなります。少なくとも日本政策金融公庫並みにして、無担保・3年間無利子などにすべきです。
第3に、子どもと教育現場への支援では、児童・生徒の心のケアを行うことを強く求めたい。例えば中学3年生は受験のことが心配です。連日の新型コロナ報道で、パニックになっている子どもも少なくありません。各小中学校にスクールカウンセラーを配置して、休校中でも門戸を開き、相談を受け入れることは、すぐにでも必要です。
これらの対策を実施するために、国の財政措置を活用するとともに、府としてさらに補正予算を編成し、大規模な財政出動をためらわず行うことがどうしても必要です。
財政調整基金はじめ財源はある
――吉村知事は、営業自粛や休業の要請に伴う補償や支援について、「府独自の財源でやるのは無理」と繰り返し発言しています。一方で、大阪市を廃止・分割する「大阪都」構想やカジノを核とした統合型リゾート(IR)誘致をやめようとしていません。
石川 吉村知事は連日テレビで「自粛」「休業」など府民に「お願い」していますが、その人たちの生活や営業をどう守るのかについては語りません。「財源がないから後はよろしく」と言わんばかりの無責任な対応を、府がしていいでしょうか。
吉村知事が3月に専決処分した補正予算は総額74億円ですが、そのうち府費は約24億円であるなど、府の財政支出はわずかです。財源はあります。財政調整基金は約900億円残っており、思い切って補償や支援に使うべきときです。
「都」構想の出前協議会は4月の開催は中止になりましたが、5月10日と12日に開くことを決めました。不要不急の「都」構想やカジノはやめ、補償や支援に人もお金も出すように舵を切らなければ、府民は苦境を乗り越えられません。私たち府議団は、わが党の国会議員団、市町村議員団と連携して、府民の皆さんの苦難軽減へ全力で頑張ります。
(大阪民主新報、2020年4月19日号より)