コロナ危機よそに住民投票へ暴走
市民意見に耳を傾けよ
法定協
大阪市を廃止して「特別区」に分割する、いわゆる「大阪都」構想の制度案を話し合う大都市制度(特別区設置)協議会(法定協)の第34回会合が11日に開かれました。法定協後の代表者会議では19日の第35回会合で「特別区設置協定書案」を議決すると決定。維新や公明は、「今は新型コロナ対策に全力で取り組むべき」など市民の意見を踏みにじり、11月の住民投票実施へ暴走しています。
共産・山中大阪市議が意見表明
市民意見募集は何のためなのか
コロナ禍の中で4月と5月に予定されていた法定協の「出前協議会」は中止されましたが、4月10日から5月31日まで「特別区」の制度案への市民意見募集を強行。受付件数は888件で、2376件の意見が寄せられました。
「新型コロナ感染症の非常事態に、特別区制度を考えることはできない」「特別区制度に関わる人材や財源は、新型コロナ対策に投入すべき」などの意見は596件。新型コロナの影響を踏まえ、制度案の財政試算をやり直すべきだとの意見は46件ありました。
11日の法定協で日本共産党の山中智子大阪市議団長は、寄せられた意見の内容は当然だと指摘。新型コロナの第2波、第3波への不安、収入減や廃業の危機など、「市民の皆さんは引き続き、生活も、心のありようも、切羽詰まっている。仮に多数の議決で(住民投票を)実施するとしても、『今ではない』との圧倒的な声に耳を傾けなければ、何のために意見募集をしたのかということになる」と批判しました。
公衆衛生機能や医療体制充実を
「協定書案」の土台となる財政試算は、新型コロナ以前のもので、今後大阪市の税収は落ち込むなど財政状況が大幅に変わると強調。「今、この案を説明することには意味がなく、コロナ以前の収支でやっていけるかのように言うことは、行政が市民をだますことになる」と批判しました。
山中氏は「コロナの影響で大変な市民の暮らしをどうするのか。第2波、第3波や、今後も起こり得る感染症に備えて、保健所などの公衆衛生機能や医療体制の充実に、お金も人もエネルギーも振り向けるべき。大阪市廃止に何百億円もかけている場合ではない。意見募集に真摯(しんし)に耳を傾けるべき」と主張しました。
維新(藤田暁大阪市議)は「協定書は法定協で作成するものであり、(『都』構想への)賛否や住民投票の時期がアンケート結果で左右されるものではない」などと発言。新型コロナ危機での市民の苦境をよそに、問答無用で住民投票を実施していく姿勢をあらわにしました。
信ぴょう性ない報告書は撤回を
また山中氏は、「嘉悦学園」がまとめた「特別区」設置の「経済効果」についての報告書を再度訂正した問題について、「もともと何の信ぴょう性もない報告書。これほど誤りがあることが明らかになった以上、報告書は撤回し、公の広報から削除し、市民に一切説明しないのが当然だ」と述べました。
(大阪民主新報、2020年6月21日号より)