おおさかナウ

2020年06月21日

大阪の5野党が「政策フォーラム」
アベでも維新でもない新しい政治に
平松元大阪市長ら6氏の呼び掛けで

 「コロナ禍を乗り越え、希望ある未来を切り拓こう~アベ政治でも維新政治でもない、新しい政治を」と、平松邦夫元大阪市長ら6氏が呼び掛けた「市民アピール」が13日発表されました。コロナ対応の遅れや検察庁法改定案などを巡り安倍政権の支持率が急落する一方、維新が大阪市廃止の住民投票実施へ暴走する大阪の地から、政治や社会のあり方を問い直し、市民と野党の共闘で日本と大阪の未来をつくるため、共通政策を練り上げる「政策フォーラム」を積み重ねていくとしています。

「安倍政治でも維新政治でもない、新しい政治を」と呼び掛けた「市民アピール」の発表を受けて、野党代表らが語り合った政策フォーラム=13日、大阪市中央区内

「安倍政治でも維新政治でもない、新しい政治を」と呼び掛けた「市民アピール」の発表を受けて、野党代表らが語り合った政策フォーラム=13日、大阪市中央区内

「市民一人一人が声上げて」「新しい発想を提示しよう」
――記者会見で各氏が表明

 大阪市中央区内で開かれた記者会見で、呼び掛け人代表の平松氏、石田法子弁護士、大阪市立大学の伊地知紀子教授、東大阪生協病院の橘田亜由美院長、大阪大学の木戸衛一教授、浪速産業株式会社の中野雅司社長が、「市民アピール」を発表しました。
 石田氏は、弁護士活動を通して貧困と格差の拡大を実感しているのに加え、国政では民主主義をないがしろにする動きが相次ぐ中、「政治家だけに任せるのではなく、市民一人一人が声を上げて、この国をつくっていくことが大事」と語りました。
 伊地知氏は、自治体の長の責務は、長期的な展望で住民生活の安定のための政策を練ることにあると強調。「公共とは何か、自治とは何かを考え直さなければ」と述べました。
 橘田氏は、医療・福祉の削減によって、コロナ禍の中で医療や保健行政の現場は深刻な状態だと力説。「『都』構想やカジノにお金を使っている場合ではない。府民・市民の命を守り、コロナ貧困から暮らしを守る新しい政治を」と訴えました。
 木戸氏は、権力者がうそをついたり、パフォーマンスでマスコミを巻き込んで市民を惑わし、間違った方向に向かっていくのは非常に危険だと指摘。「カジノなどは旧体制の遺物のようなもの。新しい発想を市民の中から提示する必要がある」と語りました。
 中野氏は、新自由主義によって経済など日本のシステムが傷付けられ、国の劣化に結び付いたと批判。コロナによる経済悪化で倒産・廃業が生まれる中、「『都』構想をやって何カ月も行政がストップすると、大阪経済は二度と取り戻せない」と警告しました。
 平松氏は、「安倍政治でも維新政治でもないということが、一番大きなポイント」と指摘。「格差が広がり過ぎ、弱い立場の人たちが声を発することができない中で、呼び掛け人がいろんなことを言える場を提供したい」と話しました。

「アピール」発表

 平松氏はじめ6氏が13日発表した「市民アピール」は、新型コロナが単に世界恐慌の再来をもたらすだけではなく、政治や社会のあり方を根本的に問い直す機会を与えていると指摘しています。安倍政権と維新政治が進めてきた公的部門の廃止・民営化、貧困と格差を広げる新自由主義政策に疑問を持ち始めている人も多く、大阪から政治や社会のあり方を問い掛ける動きを始めたいと表明。①住民の命と健康、暮らしと営業・雇用を守り、子どもたちの学ぶ権利の保障を②カジノ・「大阪市廃止構想」を抜本的に見直し、大阪経済を立て直そう③「市民と野党の共闘」をさらに広げ、希望ある日本を大阪を切り拓こうと呼び掛けています。

コロナ・「都」構想巡り討論

 「市民アピール」の発表に続く第1回目の「政策フォーラム」では、平松氏の進行で、野党各党の代表が「コロナ、カジノ、都構想」をテーマに討論。日本共産党の清水忠史衆院議員、立憲民主党の野々上愛府議、国民民主党府連の吉田治副代表(元衆院議員)、社民党府連の大椿裕子副代表、れいわ新選組の大石あきこ氏が出席しました。
 清水氏は、安倍政権の行き詰まりはいよいよ深刻になり、コロナ対策では一律1人10万円給付金の実現はじめ、国民の世論と運動が政治を動かしていると強調しました。持続化給付金の委託を巡る企業と経産省の癒着問題で、野党は追及チームをつくって徹底追及しているが、「問題ない」としているのが維新だと指摘。「国政での維新は、安倍政権の補完勢力。ほとんどの法案に賛成し、野党を攻撃・分断するのが役割。このことをもっと広げていこう」と語りました。
 また、コロナ禍の中で社会や経済のあり方が根本的に問われている中で、「いまだにカジノだ、大阪市廃止の『都』構想と言い続ける維新に、少なくない府民・市民が違和感を抱き始めている。真実を伝え、違和感を確信に変えるために頑張ろう」と呼び掛けました。
 野々上氏は、「コロナ対策がまず喫緊の課題。感染の第2波に備えるべき時に、府市の職員がコロナ対策そっちのけで、『都』構想にかまけていていいのか」と発言しました。
 吉田氏は「世界でカジノが成功する背景には売春があるというのが、カジノの『不都合な事実』。大阪をそんな街にしていいのか」と問い掛けました。
 大椿氏は「市民に『都』構想の住民投票について考える余裕はない。いま生きることで精いっぱい。こんな危機的な状況の中で、住民投票をやることに反対」と表明しました。
 大石氏は「コロナで経済状況が変わる中で、既定路線の『都』構想をやる選択肢はあり得ない」と語りました。
 呼び掛け人からは「政党の皆さんは共闘して、私たちが選択に迷わないようにしてほしい」(橘田氏)、「相手を否定するだけでなく、魅力あるものを出さないといけない」(中野氏)などの感想が寄せられました。
 清水氏は「昨年の参院選では、野党は市民連合と13項目の政策合意を行いました。これを安倍政権に代わる政権合意へと発展させていくことが大事」「反対ばかりではなく、希望を語りたい。政令市・大阪市だからこそ、大阪全体の経済、文化をけん引してきた。大阪市をつぶしても府民の暮らしはよくならないことを、丁寧に説明していこう」と応じました。
 「政策フォーラム」は、動画投稿サイト「ユーチューブ」で視聴できます。

(大阪民主新報、2020年6月21日号より)

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