コロナ禍の下で大義なし
大阪市廃止の「協定書案」可決
第35回法定協 維・公などが賛成
大阪市を廃止して4つの「特別区」に分割する、いわゆる「大阪都」構想を巡り、19日の第35回大都市制度(特別区設置)協議会(法定協)で、「特別区設置協定書案」が、維新、公明、自民党府議団の賛成多数で可決されました。日本共産党と自民党大阪市議は反対しました。同日、日本共産党府委員会の「大阪市廃止=都構想ストップ」闘争本部がアピールを発表しました。明るい民主大阪府政をつくる会(明るい会)と大阪市をよくする会(よくする会)も、両会事務局長が連名でアピールを出し、維新が「11月1日の住民投票」強行を狙う中で、住民投票勝利への活動を始めています。
大阪市役所内で開かれた法定協では各会派が意見表明。日本共産党の山中智子大阪市議団長が意見表明し、大阪市を廃止して「特別区」に分割すれば、住民サービスの削減は避けられないなど、「百害あって一利なし」と批判し、「協定書案」に反対を表明しました。
「新型コロナという未曽有の感染症を受けて、大阪市廃止や11月の住民投票などあり得ない」と強調。市民はいま、生きることに精いっぱいで、副首都推進局の意見募集でも「今はやめてほしい」との声が圧倒的だったと指摘。コロナ以前の財政試算を基にした「協定書案」で「特別区」の財政を説明することは「市民をだますようなものだ」と断じました。
山中氏は、いまやるべきは全国でも突出している財政調整基金も活用してコロナ対策を進めることだと力説。大阪市の独自施策の貧弱さに批判が出ている中、「何でもかんでも制度に結び付けて大阪市廃止に血道を上げることではなく、政令市・大阪市の力と役割を発揮して、市民の営業と暮らしの支援に全力を尽くすべきだ」と述べました。
維新は、「(前回より)バージョンアップした協定書案」(山下昌彦大阪市議)、公明は、「公明党の提案で、よりよい制度案につくり上げられた」(肥後洋一朗府議)と強弁しました。
自民は、川嶋広稔大阪市議が「『都』構想より目の前のコロナ対策を」と主張しましたが、2人の府議は「協定書案」に賛成しました。
「大阪市廃止」ストップ住民投票勝利へ行動を
日本共産党府委闘争本部
「特別区設置協定書案」は国との協議を経て、府市両議会で議決された後、60日以内に住民投票が実施されることになります。維新などが狙う「11月1日」が投票日の場合、告示日は「10月12日」となります。
日本共産党府委員会の闘争本部のアピールは、大阪市廃止は2015年の住民投票で「ノー」の審判を突き付けたもので、コロナ禍の下で強行するなど「二重三重に大義がない」と批判。今度も市民の力できっぱり審判を下し、コロナの教訓を生かして、市民の命と暮らしを守るための新しい政治を起こす道へと、共に踏み出そうと呼び掛けています。
大阪市廃止の「協定書案」に反対する理由として、「特別区」から権限・財源は府に奪われ、「18歳までの医療費助成」をはじめ住民サービスは「向上」どころか「維持」の保証はないなどの5点を指摘。コロナ問題は、保健所や病院、公衆衛生研究所などの機能の体制の立て直し、「インバウンド(訪日外国人)頼み」ではなく庶民と中小業者の懐を温めることを軸とした経済政策の転換、少人数学級の実行など、大阪のあり方を根本から見直すことを求めていると強調しています。
「大阪市廃止」にストップをかけるための宣伝や「集い」の開催、各界との対話などの活動を直ちに開始しようと呼び掛け。「市民と野党の共闘」の流れを発展させ、野党連合政権への道を切り開くと共に、大阪で維新政治を打ち破るあめに総力を挙げるとし、「その大きな一歩として、大阪の希望ある前途をてらす、『住民投票』勝利、『大阪市廃止=都構想』ストップのたたかいをごいっしょにすすめましょう」と訴えています。
住民投票中止の声広げよう
明るい会・よくする会
明るい会の荒田功、よくする会の福井朗両事務局長も連名アピールで、コロナ対策にすべての住民が力を合わせて協力すべき時に、前回の住民投票のような対立・分断を持ち込んではならないと指摘。「都」構想の是非や賛否で意見の違いがあっても、今やるべきはコロナ対策の強化であり、大阪市廃止ではないとの意見が多数だとし、「住民投票は中止を」の声を大きく広げようと呼び掛けています。
(大阪民主新報、2020年6月21日号より)