1年以上前のテストが進路を左右
中2のチャレンジテストを入試に活用
府教委決定に批判の声
大阪府教育委員会は19日の教育委員会議で、今年度の中学3年生の高校入試に、中学2年で受けた昨年度の「中学生チャレンジテスト」結果を用いることを決めました。6月に予定していた3年生のチャレンジテストが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になったことによる措置。3年生になってからの個々の成長が反映されず、入試の1年以上前のテストが進路を左右することなります。会議では、委員らの質問や発言はありませんでした。
チャレンジテストは、年に1度のテストで生徒個人の成績を決定づけ、高校入試にも用いることに多くの批判があります。
テスト教科以外の音楽や体育も
今年度から仕組みが一部見直され、学校全体のテスト結果が生徒個人の成績に反映される中学3年生の仕組みが、1・2年生にも持ち込まれます。学校ごとに生徒につけられる成績の平均を決めることから「団体戦」と言われます。テスト教科以外の体育や音楽など実技教科の成績も、このテストの学校全体の結果が左右します。
府教委はチャレンジテストにより「(教師による)極端な絶対評価の有無を確認できる」と主張しますが、「極端な絶対評価」はこれまで確認されていません。
この日、府立高入試の出題範囲から中3で習う内容の2割を外すことも提案されました。
中2のチャレンジテスト結果を入学選抜に利用することについて、大阪教職員組合の今井政廣教文部長の談話を紹介します。
2021年度高校入試の内申にチャレンジテストを反映させないことを求める
大阪教職員組合教文部長 今井政廣
府教委は新型コロナウイルスの影響で中止になった2020年度3年生中学校チャレンジテストの代わりに、2年生次のチャレンジテスト結果を使って3年生の評定を決定する方針を打ち出した。
そもそもたった1回のチャレンジテスト結果が1年間の成績である評定に影響すること自体が許されないものである。
2年生のときのテスト結果が子どもたちの進路に影響することは、子どもたちの1年間の成長と、学校教育そのものの意義を無視した、断じて許すことのできないものである。長い休校を経て、やっと始まった新しい年度への子どもたちの期待と努力をないがしろにすることは看過できない。今回のチャレンジテストにこだわった方針の撤回を強く求めるものである。
(大阪民主新報、2020年6月21日号より)