おおさかナウ

2020年10月16日

大阪市廃止で住民サービス低下
各種討論会開催 論戦で鮮明に

 大阪市を廃止・分割することの賛否を問う住民投票(11月1日投開票)に向けて、日本共産党、大阪維新の会、自民党、公明党の代表による討論会がテレビ番組などで相次いで行われています。論戦で、大阪市を廃止して「特別区」を設置すれば、住民サービスの低下が避けられないことが、ますます鮮明になっています。

権限・財源奪われる 共産党 辰巳氏が主張
関西プレスクラブ

 関西に拠点を置く新聞社や放送局などでつくる関西プレスクラブ主催の公開討論会が6日、大阪市中央区内で開かれ、日本共産党の辰巳孝太郎前参院議員、大阪維新の会の松井一郎代表(大阪市長)、自民党大阪市議団の川嶋広稔副幹事長、公明党府本部の土岐恭生幹事長が出席しました。

市民プールなど統廃合が前提に

関西プレスクラブの公開討論で発言する辰巳氏=6日(ユーチューブより)

関西プレスクラブの公開討論で発言する辰巳氏=6日(ユーチューブより)

 辰巳氏は、「130年にわたる、市民の財産ともいえる大阪市を廃止・解体することには、絶対に反対」と強調。大阪市廃止で暮らしを支える権限・財源が府に奪われ、逆に「特別区」の設置コストが15年間で1300億円かかるため、「市民サービスは維持どころか切り捨てざるを得なくなる」と語りました。
 8月に示された「特別区」の財政シミュレーションは、市民プールやスポーツセンターなどの統廃合が前提だと指摘。サービス維持は「特別区」が設置される2025年1月1日の話で、それ以降は「維持するよう努める」と努力義務に過ぎないと強調しました。
 辰巳氏は「(『特別区』の)財源不足はいくらで、どう捻出するのか」と質問。松井氏が「財政シミュレーションでは『特別区』の財政はマイナスにならない。住民サービスは守られる」と答えたのに対し、辰巳氏は、試算にはコロナによる税収の落ち込みが入っておらず、「そういう数字を持ってくるのは非常にナンセンスだ」と強調しました。

5年後ではなく いま保健所増を

 松井氏はコロナ対策を巡り、保健所はいま大阪市に1カ所だが、「特別区」になれば4カ所になり、特色あるPCR検査ができると説明しました。辰巳氏は「特別区」設置は5年後だとし、「必要なら体制強化も含めて今からでも増やすべき」と反論。PCR検査を受けたくても受けられない人がいることなど、大阪の医療・公衆衛生体制の脆弱さについて厳しい総括が求められると述べました。
 松井氏は「大阪市内で検査施設をこれ以上増やして、どうやってサポートするのか」と発言。辰巳氏は「保健所体制が足らないことを市長自身が自慢することは受け入れられない」と批判し、「クラスター(集団感染)が起これば、それこそ逼迫(ひっぱく)する。いまの段階でPCR検査を加重すべきだ」と主張。コロナ対策に集中すべき時に、大阪市解体は絶対やってはならないと述べました。

財政試算 市民欺く 共産党 山中氏が力説
テレビ討論会

「ミント!」の討論番組で討論する山中氏(左)と松井氏=12日(毎日放送テレビより)

「ミント!」の討論番組で討論する山中氏(左)と松井氏=12日(毎日放送テレビより)

 日本共産党大阪市議団の山中智子団長は、読売テレビ「かんさい情報ネットten.」(9日)、毎日放送テレビ「ミント!」(12日)の生放送の討論番組に相次いで出席し、松井氏ら各党代表と議論しました。
 いずれの番組でも、大阪市独自の住民サービスの行方や、「特別区」の財政試算が大きな焦点に。「ミント!」で松井氏は、過去5年間で大阪市の決算は、予算よりも毎年平均200億円以上余っており、「特別区」の財政運営はやっていけるとの試算を示しました。
 山中氏は、税収が予算よりも多い好調期の数字で、「特別区」の制度案を検討する法定協議会でも議論していない試算だと指摘。「市民を欺くもの。そんなことで住民投票に問うていいのか」と厳しく批判しました。

まともに議論できない姿さらす

 公明党大阪市議団の土岐恭生幹事長が突然、塾代助成などを盛り込んだ予算に共産党は反対したなどと言い募る一方で、自民党も共産党も参加した法定協でつくった制度案なので、住民サービスは低下しないと強弁。大阪市廃止後の問題について、まともに議論できない姿をさらけ出しました。
 山中氏は、無駄遣いをやめて、住民に予算を振り向ける大阪市にしたいので予算全体に反対してきたと反論。「(大阪市を)潰してしまえば元も子もない。住民が主人公の新しい大阪市を築くため、潰すのではなく、より良い街に変えるために頑張る」と表明しました。

(大阪民主新報、2020年10月18日号より)

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