おおさかナウ

2020年10月22日

党利が通れば道理が引っ込む
公明党の「都」構想バラ色宣伝

ことごとく拒否された修正要求

 大阪市廃止・分割の「大阪都」構想を巡って公明党は、「住民サービスは低下させないことを主張し、敬老パス、塾代助成、子ども医療費など維持されると協定書で確約された」「前回より良くなった」「住民サービスは拡充」とバラ色宣伝をしています。果たしてそうでしょうか。
 賛成に転じるまで公明党は、「『都』構想は百害あって一利なし」(佐藤茂樹府本部代表)と言い、制度設計を話し合う大都市制度協議会(法定協)ではまっとうな主張と修正要求をしていました。
 「平成の大合併のような国の支援も全くないため、現在の大阪市の税収から捻出しなければならない。手厚いサービスである敬老パスや、高校生までの子ども医療費助成制度などをすべて廃止しても全く財源は足りない。その結果、住民サービスが低下することは明白」「住民サービスは、維持に努めることが示されているが、何ら法的拘束力が無い」「『努める』の削除を」「府に財源が移管される、単なる財源のつけかえの財政調整制度の修正を」などと言っていました。
 しかし、これらはことごとく拒否されています。
 「努める」の削除要求は、特別区設置の日以後については「維持するよう努める」と明記されたままです。財政調整制度なども無修正です。
 コスト削減も当面、中之島合同庁舎化でしのいだものの特別区設置後の建設を前提にしたものです。そのため、15年間で1300億円ものコストがかかり、公明党が言ってきた膨大なコストで「住民サービスが低下することは明白」な設計図になっています。
 「よりよいものにした」「住民サービスは向上する」などと市民をごまかす宣伝はやめるべきです。

住民のことよりわが議席を優先

 公明党の度重なる変節の底流には、橋下徹元大阪市長が「宗教の前に人の道がある」と批判し、大阪で4議席を持つ公明党の衆院選挙区への維新の対立候補を擁立するとした脅しがあります。
 その脅しに屈し、今回賛成に転じ、維新と一緒に街頭宣伝するまでになりました。その宣伝では、「反対多数になれば、『公明党がまとめきれなかったから負けた』と言われる。だから一生懸命やっている」との公明党関係者の発言が報道されました。
 18日の「異例のてこいれ」と言われる山口那津男代表の街頭宣伝でも、「維新は『公明にはちゃんと動いて、支持者を賛成にしてもらわないと困る』(幹部)と強い不満を抱いており、松井氏が公明党に積極的な関与を求めたようだ」と報道されています。
 そこにあるのは、市民のことより、党利を最優先するみにくい姿です。事実をゆがめてでも党利を優先する――「党利が通れば道理が引っ込む」です。こんな態度は改めるべきです。(N)

(大阪民主新報、2020年10月25日号より)

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