おおさかナウ

2020年11月14日

新しい協働関係で市民のための大阪市に
小西禎一元副知事に聞く

 橋下徹、松井一郎知事の下で府幹部を歴任し、大阪市を廃止・分割する「大阪都」構想に終止符を打つとして、昨年のダブル選挙で府知事選に出馬、今回の住民投票でも「政令市・大阪市をなくしてはいけない」と訴え続けた小西禎一(ただかず)さんに、住民投票(1日投開票)の結果を受けて話を聞きました。

住民投票の結果を受けて語る小西禎一さん=9日、吹田市の自宅で

住民投票の結果を受けて語る小西禎一さん=9日、吹田市の自宅で

――大阪市廃止・分割の是非を問う住民投票が反対多数となり否決されました。
小西 内容的には絶対に負ける理由がないたたかいでしたが、最初の世論調査では賛成と反対が15ポイントも差が開いた時もあったし、さらに相手は役所ぐるみでやってきた。そのことを考えると、反対運動に取り組まれた政党、市民団体、市民の皆さんの頑張りの結果だと思います。
 今回は、大阪市を廃止するかどうかが争点の中心に据えられたことで、大阪市をなくしていいのかを直接市民に問い掛けることができました。行政が住民説明会などで「都」構想のメリットしか示さなかったことも逆に反感を買い、市民が正常な感覚で批判したことなども良かったと思います。
 一方、2回の住民投票でこれだけ賛成が多いということは、大阪市に対する市民の信頼がすごく損なわれてきたことの表れだと思います。そんな中でも大阪市を残そうという決断がされた意義は大変大きいし、これから市と市民との新しい協働関係で、大阪市の持っている権限・財源を、市民や大阪の発展にどう使うのかを考え、具体的な取り組みや施策に結び付けていかなければならないと思います。
 これまでの10年間が「都」構想の議論に費やされたことで、こうした議論がまともにできなかったのが、住民投票の結果でやっとスタート台に立てました。
 これからの大阪を考える上で大切なことは、まずコロナ対策をしっかりやること。そしてインバウンド(訪日外国人)頼みの成長ではなく、大阪の持っている力、中小企業や商店街、ものづくりなどを強めて、大阪の中で回っていくようなことを考えることが必要だと思います。
 松井市長らは、大阪市に集中投資をすれば大阪の成長が加速されると言いますが、それでは大阪全体は決してよくなりません。

「広域行政一元化条例案」は住民投票の結果無視の暴論

――住民投票から1週間足らずで、松井市長は府と市の広域行政を一元化する条例の制定を目指すと言っていますが。
小西 広域行政一元化条例は、結局、政令市の権限をすべて府に移してしまうものであり、2回も行われた住民投票で、市民が非常に苦労して下した判断を無視した暴論です。
 市民の力で大阪市を守ったのですから、行政に対して市民がもっと声を上げ、市民のための政治を求めていくときだと思います。

(大阪民主新報、2020年11月15日号より)

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