条例で大阪市の権限奪い府に一元化
「広域行政一元化」条例案提出へ
住民投票の審判踏みにじる暴挙
松井市長・維新が画策
大阪市の松井一郎市長(大阪維新の会代表)は5日、市役所内での定例会見で、「広域行政一元化条例」案を来年2月の市議会に提出する考えを示しました。1日投開票の住民投票で、大阪市を廃止・分割する、いわゆる「大阪都」構想が再び否決されましたが、松井氏は「維新としての(『都』構想の)対案だ」などと発言。吉村洋文知事(大阪維新の会代表代行)も同日、記者団に同様の条例案を来年2月の府議会に提出する意向を表明しました。
無理やり都構想の実現を目論む
否決された「都」構想は、政令指定都市・大阪市が持つ権限と財源を府が奪い、カジノ誘致や巨大開発など、「広域行政」の権限を「一人の指揮官=知事」に一元化することに狙いがありました。
松井氏が示した案は、住民投票で大阪市存続が決まった下で、条例で「広域行政」の権限を知事に一本化します。維新と公明党で過半数を握る市議会で条例を制定することで大阪市の権限を奪い、「広域行政一元化」を無理やり実現しようというもので、住民投票が示した民意を踏みにじる異常なやり方です。
松井氏は「都」構想の制度案づくりを担ってきた府市共同設置の「副首都推進局」は廃止せず、「広域行政一元化」のルールづくりを担わせるとしました。
「総合区」 公明前向きに
松井氏はまた、大阪市を残して24行政区を再編する「総合区」について、「やったほうがいい」と発言しました。公明党が以前提案した「8総合区案」があるとして、「あとは議会次第。維新は賛成する。公明党が先頭に立って旗振り役をやってもらいたい」などと語りました。
これを受けて、公明党府本部幹事長の土岐恭生大阪市議は6日、記者団に、「(法定協議会で19年に)『都』構想に賛成した段階で『総合区』は白紙撤回している。(再び)提案することはない」と発言しました。ところが7日には一転して、市から「総合区」が提案されれば、前向きに議論する考えを示しました。
(大阪民主新報、2020年11月15日号より)