住民投票反対多数
歴史的勝利を確信に
維新の策動許さない
明るい会・よくする会が報告集会
大阪市廃止・分割の賛否を問う住民投票(1日投開票)で再び反対多数となったのを受け、明るい民主大阪府政をつくる会(明るい会)と大阪市をよくする会(よくする会)が13日、大阪市中央区内で住民投票勝利報告集会を開きました。維新が住民投票の民意に背き、大阪市の権限を府に奪い取る「広域一元化条例」案や、24行政区を8つの「総合区」に再編する案を議会に提案しようと画策する中、「大阪市廃止ノー」の審判を下した歴史的な勝利を確信に、維新の党利党略を打ち破り、住民のための大阪市政をつくる新たなたたかいへの決意を固め合いました。
良識と共同が結実した結果
明るい会の菅義人代表常任幹事(大阪労連議長)の開会あいさつに続き、同会の荒田功事務局長が、たたかいの経過を振り返りながら報告。住民投票の結果は大阪市民の良識の力が発揮されたもので、明るい会とよくする会の構成員、全国各地からの支援者、各界の著名人、立場を超えた共同の広がり、草の根の力など、すべての奮闘が結実した歴史的勝利だと述べました。
住民投票後、松井一郎大阪市長と吉村洋文知事が「広域一元化」と「総合区制度」の条例制定を打ち出したことについて、荒田氏は「住民投票の結果を受け入れず、勝手な解釈で新たな提案をすることは許されない」と強調。大阪の地方自治破壊、24行政区の再編を狙う維新とのたたかいを始めようと呼び掛けました。
草の根の力を再び発揮して
「住民投票勝利の意義とこれからの大阪」と題して奈良女子大学の中山徹教授が特別報告(別項)。日本共産党の内海公仁府議と、山中智子大阪市議団長が府市両議会を巡る情勢などについて発言しました。
内海氏は、府議団として11日、吉村知事宛てに「都」構想反対の民意を受け止め、コロナ対策と暮らし・営業支援優先、住民自治尊重の府政運営を求めて申し入れたと報告。大阪でのコロナの感染拡大が深刻になっている中、住民の要求や現場の声を府政にぶつけていくことが重要だと述べました。
山中氏は、維新が持ち出した「広域一元化」や「総合区制度」は「無理筋で、それしか生き残る道はないからだ」と強調。維新が大阪市の分割コスト(218億円)を公表した財政局に異常な攻撃を行っていると批判しつつ、「住民投票で発揮された市民の草の根の力をもう一度束ねて、大阪市を本当にどうしていくのかという議論をスタートさせよう」と呼び掛けました。
路地裏で宣伝対話を広げた
活動交流では、よくする会の地域連絡会から、「市民参加型で有志が『福島区民の会』もつくり、地域で町会の人々らとも共同を広げた。1人で4千枚のビラを配った人や、手作りポスターを出した人もいた」(福島区)、「『広域一元化』『総合区制度』は、あり得ない話で、絶対許してはならない。高すぎる介護保険料の引き下げ、少人数学級実現などで地域、路地裏から運動を起こす」(西淀川区)との報告や決意がありました。
加盟団体からは「『主戦場は路地裏』と、投票日までに1万4749回のスポットを達成。シール投票で大阪市廃止を問うものだということを知らせ、知り合いにビラを渡してほしいとの呼び掛けに、多くの人が応えてくれた」(新婦人府本部)、「大阪市内1400人の歯科医と対話し、毎日街頭宣伝に取り組んだ。少なくない歯科医師が自ら患者に反対を呼び掛ける動きがつくれた」(歯科保険医協会)などの発言がありました。
大阪市存続に大きな意義
条例づくりは民意と対立
中山徹奈良女子大学教授が特別報告
中山氏は、2015年の住民投票に続き「都」構想を2度にわたり否決した第1の意義は、政令指定都市・大阪市を残したことにあると強調。大阪市が廃止されれば隣接する衛星都市は住民投票なしに「特別区」に編入される危険があった中で、大阪市民だけでなく、衛生都市にも大きな意義があり、大阪府の母都市である大阪市を守ったことは、大阪全体にとって極めて重要な意義をもつと語りました。
維新は今回の住民投票で圧勝し、カジノ誘致・万博などを実現しようとしていたが、大きくつまずき、維新政治の展開に対して大きな歯止めになったという政治的意義があると指摘。維新が政権与党を補完するだけでなく、改憲を促進する役割を果たしている中で、国政に与えた影響も非常に大きいと述べました。
政令市を廃止して半人前の「特別区」に変える法的根拠である大都市法は、地方自治制度への攻撃であり、同法の実現を止めたことは、制度上の意義もあると語りました。
中山氏は、維新は当初「圧勝」を狙っていたが、思惑通り進められなかった要因に言及。第1に政策論争で反対派が圧勝し、最後に維新は「反対派は全てデマ」としか言えなかったことにあり、第2に運動の進め方でも反対派は路地裏で対話し、ビラを受け取った人がビラをまくなど、運動しながら運動する人を増やしたことにあると述べました。
中山氏は「広域一元化条例」案の基本的な考え方は、「都」構想で大阪市の財源・権限を府に移す企てを条例で行うことにあり、政令指定都市の権限・財源を残すという住民投票で示された民意と真っ向から対立すると強調。条例を許せば大阪市だけでなく、衛生都市も条例によって権限を府に移せることになる危険があると警告しました。
現在の「総合区」案で24行政区を8「総合区」に合区すれば、大阪市が大混乱になるのは必至で、コロナ禍の中で市民が安心して議論できる条件にはないとし、「提案するという条例を認めず、議会にかけさせない運動が求められる」と述べました。さらに2023年の知事・大阪市長選を視野に入れ、「どういう大阪府、大阪市をつくるか」という展望を示していくことが大切だと語りました。
(大阪民主新報、2020年11月22日号より)