コロナ禍乗り越える社会に
大阪革新懇が「講演と文化のつどい」
進歩と革新をめざす大阪の会(大阪革新懇)が5日、大阪市阿倍野区内で「講演と文化のつどい」を開きました。太平洋戦争が開戦(1941年)した12月8日前後に、平和と民主主義、政治革新の課題などを考えようと毎年取り組んでいるもの。入場者数を制限するなど新型コロナの感染対策を講じながら、約130人が参加しました。
石川康宏神戸女学院大教授が講演
大阪革新懇代表世話人の渡辺武さん(元大阪城天守閣館長)が開会あいさつし、安倍前政権を継承する菅政権と維新政治によって、国政も大阪も問題が噴出していると指摘。住民投票で大阪市存続の審判が下ったにもかかわらず、維新は大阪市の権限・財源を府が奪う「広域一元化条例」案を狙い、大阪のコロナ対策が非常に遅れていると告発しました。
■課題浮き彫り
神戸女学院大学の石川康宏教授が「コロナ危機を乗り越えられる社会をどうつくっていくか」と題して講演。コロナ禍によって命と健康の格差、自然環境の破壊による感染症の誘発などさまざまな課題が浮き彫りになっていることを詳しく語りました。
安倍前政権や菅政権のコロナ対応を巡り、国民総生産(GDP)の56%を占める個人消費を応援する対策を取らず、補償なしの一律の自粛要請で経済活動を破壊し、市民には自己責任を強要するなど、コロナ不況をいっそう深刻化する政策を取っていると批判しました。
■横暴に規制を
石川氏は、貧困と格差を広げ、社会を疲弊させてきた大本に、大資本の利潤追求を最優先する新自由主義があると強調。大資本の横暴に必要な規制を加え、各国市民の命と尊厳をより重視する次の段階の資本主義に進めることが必要だとし、デンマークでは大学授業料や医療・介護は無料で、地球温暖化対策と経済成長を両立させていることを紹介しました。
■命守る政治を
最後に石川氏は、世界の中で日本は「幸福度ランキング」(20年)は62位で、1人当たりGDPは00年2位から18年26位に落ち込むなど、「日本の現状は衰退途上だ」と指摘。一方、15年の安保法制(戦争法)の強行以来、市民と野党の共闘が発展・前進し、「脱新自由主義」が野党の合意になり、コロナ禍の苦境の中で市民の新たな連帯が広がっているとし、「市民と野党の力による政権交代で、命を守る政治を実現しよう」と呼び掛けました。
生演奏に感動
文化行事は、ユニオン関西21世紀アンサンブルによる弦楽四重奏で、「G線上のアリア」(バッハ)はじめクラシック曲や「飛行機雲」(松任谷由美)などのポップス曲を鑑賞。チェロ奏者の長谷川光さんが、コロナ禍の中での音楽活動の苦労や模索に触れながら、市民に生演奏を届けることができる喜びを語りました。
参加者からは「石川教授の講演を聞いて、日本という国がいかにゆがみ、遅れているかと思いました。諦めるのではなく、嘆くのではなく、お互いが情報共有して、国民が力を合わせて変えていくしかないと思いました。」「久しぶりに生演奏が聞け、とても幸せな気持ちになれました」などの感想が寄せられました。
(大阪民主新報、2020年12月13日号より)