大阪市議会各委員会
日本共産党議員の質問から
大阪市議会各委員会で日本共産党議員が行った質問(2日、3日)から、主な内容を紹介します。
大阪市の独自対策が急務
コロナ禍から市民を守れ
民生保健委員会で長岡ゆりこ議員
2日開かれた民生保健委員会で長岡ゆりこ議員が質問し、新型コロナの感染拡大が深刻化する中、PCR検査の抜本的な拡充や、公的な地域外来・検査センターの整備、病床の確保など、市民の命を守る大阪市独自の対策を今こそ行うよう求めました。
長岡氏は府が確保する重症病床206床のうち、実際に稼働しているのは161床で、11月30日に完成した大阪コロナ重症センターは、必要な看護師130人のうち50人しか確保できていないと指摘し、市としての対応をただしました。
市側は、十三市民病院で中等症の治療を担う新型コロナ専門病床を90床整備する計画だが、運用は60床にとどまっていると答弁しました。長岡氏は、市内で発熱外来に取り組む民間病院では、コロナ病床ではないのに、搬送先・受け入れ先が見つからないため、陽性者をいったん受け入れているなどの窮状があることを紹介。搬送を調整する府の「入院フォローアップセンター」がパンクしている状況がある中で、市独自に実情をつかみ、病床を確保・拡充するよう強く求めました。
長岡氏は、「対応が遅い府に任せておいては、市民の命は守れない」とし、大阪市の新型コロナ対策本部会議を早急に開くよう求めると共に、他の自治体の取り組みを紹介。神戸市は11月の補正予算でPCR検査体制の強化を打ち出し、介護・障害者入所施設の職員ら約1万人を対象にした社会的検査に2億9200万円を計上。豊中市は65歳以上を対象にPCR検査を無料で実施することを示しました。
その上で「大阪市にも、やれることはある。命あってこその経済活動だ」と強調。「医療崩壊を起こさせず、市民の命を守るために、主体的に取り組むべきだ」と力説しました。
大阪市存続の民意に沿い
市立高校の府移管やめよ
教育こども委員会で井上浩議員
3日の教育こども委員会で井上浩議員は、大阪市が市立高校(21校)を「広域的な視点から効率的・効果的な学校運営が可能になる」などとして、2022年度に府に移管しようとしている問題などについて質問しました。
井上氏は、大阪市立高校は100年を超える長い歴史と伝統があり、そもそも市と府では設置理念が異なると指摘。実業系は市立、普通科系は府立と役割分担し、双方がそれぞれの役割を発揮して相乗効果をもたらすことで、大阪の高校教育を発展させてきた歴史があると力説しました。
大阪市立高校の府移管計画は、大阪市の廃止を前提にして進められてきたが、住民投票(11月1日)では大阪市の存続が決まったと強調。それにもかかわらず府移管を強行することは民意無視の暴挙であり、筋違いだと厳しく批判しました。
市教委は、市立高校は専門的な技術や技能を身に付けた人材を育成するなど役割を果たし、企業からのニーズも高く、市民からも一定の評価を得ていると答弁。井上氏は、「その認識があるなら、市立として残し、発展させることが求められる。基礎自治体でできることは基礎自治体でやるというのが地方自治の流れだ」と述べました。
また、財政状況が厳しい府に移管してしまうと、高校の運営が立ち行かなく恐れがあると警告。「(市と府の)水平連携を充実させ、市立高校の歴史を踏まえて対応すべき。そうしなければ市民の理解は得られない。立ち止まって移管を見直すべき」と主張しました。
井上氏は他に、生野区の小中学校の再編計画を巡り、地元住民や学校関係者の合意は得られておらず、繰り返し陳情が出されている中で、統廃合のための工事を強行してはならないと主張しました。
市営住宅の管理・運営
大阪市の役割は重要だ
市政改革委員会で寺戸月美議員
3日の市政改革委員会で寺戸月美議員は、来年4月から大阪市営住宅への指定管理者制度が導入される問題について質問しました。
大阪市営住宅の管理・運営は長年、管理代行制度に基づいて、大阪市住宅供給公社が担ってきました。市は2013年に市営住宅条例を改正し、管理代行制度から指定管理者制度に変更。日本共産党は当時、管理代行制度を引き続き適用し、快適な住環境と居住者へのサービス向上に努めるべきだと主張し、指定管理者制度の導入に反対しました。
その後、市議会から出された「市営住宅の維持・管理は、市内統一の安定・堅実なサービスが求められる」「指定管理者の倒産などによるサービス停止は許されない」との指摘を受けて、市は対応を検討。今回の市議会に、大阪市住宅供給公社を指定管理者に選定(来年4月から5年間)する議案を提出しました。
寺戸氏は、指定管理者制度導入の目的は、居住者の安全・安心の確保ではなく、管理・運営のコスト削減にあると指摘。同時に、今回選定された大阪市住宅供給公社は、市営住宅の実情を熟知し、セーフティーネットとしての市営住宅の使命・役割を理解している事業者であり、「ほっとしている」と述べました。
寺戸氏は、公営住宅の目的は健康で文化的な生活を営むに足る住宅を整備し、福祉増進に寄与することにあり、「住まいは人権」そのものだと強調。「今後は指定管理者制度の課題を精査し、入居者が安心して快適に生活できるよう、管理のあり方を検討すべき。入居者の皆さんの家主である大阪市の責任と役割はますます重要だ」と述べました。
(大阪民主新報、2020年12月13日号より)