2020年12月20日
大門実紀史の国会レポート
地域金融の心意気「芸者さんローン」
菅首相は「地域金融機関の数が多すぎる」とし、コロナ禍のもとでも整理・淘汰を促進する金融関係の法改正を来年の通常国会に提出する予定です。
しかしコロナ禍で苦境に陥った事業者を支えようと必死で頑張っているのが地域の金融機関です。特に信用金庫や信用組合の取引先は、現在、最も深刻な事態にある飲食・サービス業が多く、信金、信組は自らもリスクをとりながら果敢に支援をしています。
中でも東京の下町にある第一勧業信用組合の心意気に惚れました。「浅草の料亭は一つも潰さない。芸者衆も全員守る」と宣言し、水商売の個人事業主だからと銀行が融資を渋る芸者さんたちに低利で貸し出す「芸者さんローン」を開始し、料亭が休業して収入が途絶えた芸者さんたちを助けています。
子どもの頃、母が京都の先斗町で働いていた関係で芸者さんの知り合いがいて、膝の上に乗せて貰ったことがあります。そのせいか、大人になってからカラオケで「芸者ワルツ」を歌うようになりました。
水商売をばかにするな。芸者さんは銀行の信用はなくても義理堅い。必ずあとで顧客の紹介など信組に恩返しをしてくれます。
地域金融機関にとって最も大事なことは地域の絆です。
いま政府がなすべきことは、整理・淘汰を促進するのではなく、地域金融機関がリスクをとって地域で頑張る人たちを支える取り組みへの公的支援ではないでしょうか。通常国会の論戦ではこの点を強く求めていく決意です。(だいもん・みきし 参院議員 第3週掲載)
(大阪民主新報、2020年12月20日号より)