歴史的な勝利となった
住民投票をふりかえって
日本共産党大阪府委員会維新対策本部
大阪市廃止・分割の賛否を問う住民投票(11月1日投開票)で、大阪市存続の審判が下りました。日本共産党大阪府委員会の維新対策本部は8日、同党各地区委員長や支援に駆け付けた人々の感想・手記をまとめた資料「歴史的な勝利となった住民投票をふりかえって」を発表しました。全文を紹介します。 |
歴史的勝利となった住民投票について、大阪府委員会は開票翌日の府常任委員会声明や11月7日の府委員会総会報告、15日付「大阪民主新報」での柳利昭府委員長インタビューなどで、その結果の意義と主な教訓を明らかにしてきました。『前衛』1月号には柳府委員長、『議会と自治体』1月号には山中智子大阪市議団長が手記を寄せています。
これをさらに掘り下げるため、各地区委員長や大阪市内にかけつけたオルグのみなさんなどから、感想・手記を寄せてもらいました。たいへん豊富で多彩な内容です。
その一部をご紹介し、さらに地区や支部・グループでの議論をおこない、ご意見をお寄せ下さい。これらを解散・総選挙でのたたかい、ひきつづく維新府・市政転換めざすたたかいに活かすことをよびかけます。
勝利の大きさ、日本共産党のたたかいへの確信さらに
――力関係で言えば、どう考えても有利な闘いではなかったが、「維新・吉村人気が=大阪市廃止賛成」とはならないことをつかみ、コロナ禍で「ほんらい政治がはたすべき役割とは何なのか」 と市民に問いかけ、「都構想」の本質と共に大阪市の権限・財源をいかした「市民のための政治の実現」を呼びかけ続けられたことに、手応えを感じている(木津川南)。
――日本共産党が、ブレずに「反対」をリードし、論戦と宣伝の先頭に立ったことは存在感を高め、今後の市民・野党共闘の礎となったと思います。
党と民主団体の宣伝・対話が、諸団体や市民を励まし、また私たちも励まされ、共鳴が広がるたたかいでした(淀川・東淀川)。
――市民が立ち上がった選挙を励ました力は、街頭を中心とした私たちの宣伝戦にあったと思っている。毎日の日刊宣伝などでも、「共産党はさすがやな」と、わが党への期待が多く寄せられた(西・港・浪速)。
市民の良識、市民との共同の大きさ
――涙ぐみながら「どうしても大阪市をなくさないで下さい」「ぜひ反対の声を大きくして下さい」と市民から声がかかり、手書きポスターをかかげる女性といっしょに宣伝した。市民のビラ配りの申し出が毎日のようにあった(河南)。
――生野区でも天王寺区でも連合町会や町会長さん方の動きが象徴的な出来事でした。保守層を含め「大阪市廃止反対」で動きを作ったことは今後に生かすべきもの(生野・天王寺)。
――毎日がドラマティックであった。浪速区に生まれた女性は「この町が好きだ」と手書きのチラシを作成し、配って歩いた。徹底して市民を信頼し、市民が動くたたかいをと一丸となって、「反対」表明した市民に「チラシ5枚セット」を渡し、配布依頼した。他県の方が「大阪はすごい」と語っていた(東大阪)。
維新がみずから墓穴を堀った
――維新の人たちがハンドマイクで 「この住民投票で負けたら松井さんは辞めると言っている」「負けたら大阪維新の会がなくなるかもしれない」「だから勝たせてください」 と訴えていました。それを聞いていた妙齢の女性が、自転車を押しながら、私に「昨日は、市民のみなさんのこれからを思うと『都構想』しかありませんと言っていたのに、えらい変わりようや。信用できん」 といって通りすぎました(茨木・豊能)。
――維新の「メリットしかない」という宣伝に、市民は「世の中メリットしかないものなど存在しない」「何か胡散臭い」と感じはじめ、それが我々反対派の意見を聞いてみようとなったこと。この変化をとらえて、 情報提供に徹したことは功を奏した(東大阪)。
「情報提供」に徹して
――情報提供に徹して、大阪市民を信頼し、対話を広げることを中心にした活動で維新の「ウソ・デマ」支配の多数を許さなかったことは今後の戦い方という点でも教訓となる(東大阪)。
―― 「これほど変化を感じる選挙はなかった」という感想が多く寄せられている。「日刊ビラ」配布時に、「住民投票でぜひ参考にして下さい」と言いながら配布するとほとんどの信号待ちの方が取ってくれた。「近所に配るのでもっとビラをください」という方が何人も生まれ、公明党支持者でも気持ちの良い対話になるなどの経験は今までになかった、「反対」と訴えるだけでなく、「わからない」「考えたい」「よく知りたい」 という思いにこたえた活動が共感を生んでいることが、取り組んだ方々の確信(生野・天王寺)。
――「ダブル選挙」では維新が勢力を巻き返し、コロナ対策では吉村知事の「人気」が高まり、危機が強かった。世論調査でも「賛成」「反対」の差が約10ポイントもあり、 逆転は至難の業と思えた。最後まで、大阪市民の良識に訴え、草の根の宣伝と対話で、正確な情報を伝えることに徹したことが逆転勝利をきりひらく大きな力になった(枚方・交野)。
論戦がくっきりした
――「大阪市をよくする会」と党が果たした役割は大きい。論戦で突き出した「三つの焦点」は、維新の宣伝を打ち砕く力をもった内容だった。情報提供という角度での宣伝・対話が、正確な情報を求める有権者の思いとかみあった。対話の中で「賛成」や「よくわからない」が「反対」に変わった経験も多く生まれた(西淀川・此花)。
――維新とのたたかいは「ワンフレーズでやっつけられるものを」という声は出なくなった。事実に基づいて、問題点を知らせること、市民の願いによりそって対話し、共感をひろげていくことが支援の活動の中で実感されてきている(八尾・柏原)。
――情報を求める市民と「都構想まるわかりパンフ」を、活用し、一方的な「反対」押しつけではなく「一緒に考えましょう」「情報を提供しています」型の対話はこれまでの党の宣伝の延長ではできないものだった(堺)。
――序盤に住民サービス削減問題を広げたことも重要(吹田・摂津)。
党と会の草の根での奮闘が
――ある民主団体は毎週の会議でテレビ討論を見て学習し、そろいのTシャツも作成して運動をリードした。ある団体は初めて「日刊ビラ」や投票所前スタンディングを担当し、会員参加が広がった。「初めて全職員に電話で『反対』を呼びかけた」「学習を重ね、初めて十数人でハンドマイク宣伝」などの経験も各地で。
なかでもコロナ禍で相談活動に休み返上で取り組み、感染防止で心身を削って最前線で頑張っている方々が、維新市政のコロナ対策の無策と大阪市廃止への怒りで立ち上がった(淀川・東淀川)。
――「勝利のカギは担い手づくり」であることを徹底し、後援会員比で5割近くの「担い手」を確認できた。終盤には地区独自にポスターをつくり1000枚張り出しに取り組んだ。「1回の宣伝で18枚を持って帰ってもらえた」と、大きな反響をよんだ。保育所前宣伝は西区で過去最高の20カ所で行った。のぼりや音の宣伝なしで公園のなかに入って対話する「公園作戦」や、シールボード対話での「スーパー作戦」など、子育て層・若い世代、女性への働きかけを重視してきたことが、 勝利にむかう活動をつくれた(西・港・浪速)。
――多くの常任委員から、「オルグの力も借りて支部会議や支部委員会の開催を軸に、党員一人ひとりの実態を名簿でつかみ、全党員の決起と担い手を広げていったことが大事だった」 との感想が寄せられている(木津川南)。
地区委員会の役割の大きさ
――地区ニュースは11月1日の投票日まで「おはようニュース」として地区幹部のみなさんの手元に毎日届けた。これで支援の輪を広げ、活動ぶりを伝えることで支援がさらに増えた(茨木・豊能)。
――大阪市廃止反対のたたかいで大阪市内と連帯して勝利することが総選挙勝利への力となる。同時に、このなかで党勢拡大で前進をつくろうと「2つの一体」に挑戦し、どちらもやりとげた。地区の絆が強くなった(堺)。
――5年前の住民投票と比べ政党間の対決構図が大きく変わる中で何を確信にたたかうか、という点を党内に徹底する事が重要と考えて、全党員向けに地区委員会の訴えをだした(城北)。
総選挙に活かす
――地区、支部での学習、「つどい」を繰り返しおこない、すべての党員が党を語れるようにしたい(大阪中央)。
――全支部と全党員から感想を寄せてもらう。党派を超えての結びつきでは、いっしょにたたかった保守・無党派の方々とつながり、今後の共同を広げる出発点として、「市政報告会・集い」を全支部と地域、全分野で行ない、要求実現から政治改革へと結びつける。「賛成」「棄権」など、意見が分かれた方々とも結びつき、要求と政治改革で共同を進めるために、「住民アンケート」を11月中に作成して行なう。
会議や学習会でもオンラインを活用できるよう、青年・職場党員などの協力を広げたい(淀川・東淀川)。
――住民投票の結果、自公間に亀裂が入り、公明党の支持層も賛否が真二つに分かれ大きな矛盾を抱えている。市民と野党4党の合同街頭宣伝が6カ所で実施された。総選挙では、 政権奪取へ本気になってがんばりぬきたい(西淀川・此花)。
――新たなつながりを大事にしたい。特に、若い層とは「学習」を大事にして、交流を継続する。今度の結果に党員自身が自信を持ち、市民の良識や力を引き出した党の役割を自覚して、党勢拡大へ足を踏み出したい(大阪二区)。
――後援会員との関係も深まった。ある支部では、後援会員から呼びかけがあり、10人ほどで集まりをもち、「共産党が本当に頑張った」と労いの言葉があった。若い世代のなかにも大きな変化がうまれており、西区の宣伝で出会った26歳の青年が、勝利も喜び合うなかで、「民青の加盟呼びかけ文に、自分の思いが全部書いてあった」と加盟を決意している。私たちの活動が若い世代と響きあうことを確信に、世代継承に新たな気持ちで取り組んでいきたい(西・港・浪速)。
(大阪民主新報、2020年12月20日号より)