コロナ禍で公立病院が果たしている役割実感
――八尾市立病院を視察して
日本共産党八尾市議 田中裕子
日本共産党八尾市議団はこのほど、新型コロナウイルスの患者を受け入れている八尾市立病院を視察しました。コロナ禍の中で市立病院が果たしている役割を12月市議会でも取り上げた田中裕子議員からの寄稿文を紹介します。
連日10人前後の感染が
八尾市では現在、連日10人前後の新規陽性者が発生し、12月9日時点で131人が療養中で、入院45人、宿泊療養25人、自宅療養27人、施設療養34人となっています。
市内の高齢者施設で60人規模のクラスターが発生しましたが、市が把握しているだけでも17の事業所で感染者が発生、学校でも感染者の発生で臨時休校が相次いでいます。大手ショッピングモールでも感染者の報告が日々張り出されています。
私は12月議会で、コロナ禍の中で八尾市立病院が果たしている役割を取り上げました。
中等症患者を受け入れ
市立病院は、〝公立病院の今果たしている役割が市民の皆さんの安心につながれば〟ということで、コロナ感染患者さんの入院病棟やPCR検査センター(地域外来検査センター)の様子も日本共産党市議団に案内してくれました。
市立病院は中等症までの患者さんを受け入れています。
第1波の時は13床の病床を確保し、受け入れました。今回は23床の予定でしたが、府からの緊急要請に応えて45床の病床確保を目指しています。そのためには空間の確保の問題もあり、100床のベッドの確保が必要だということでした。一つの病棟丸ごと確保が必要で、入院患者さんの移動も必要です。
視察をした時は、17人の感染患者さんが入院中で、27人の看護師と3人の医師(チーム体制)が対応していました。高ストレスの環境のため、精神科医や臨床心理士などの専門家チームによる医療従事者への心のケアも実施しています。
入院患者さんは高齢で介護も必要な方もいて、家族の付き添いはできないため看護師の負担は大きいそうです。12月7日からは、外来の出入り口も1カ所にし、検温から動線まで徹底されています。
赤字経営を覚悟しても
仮に45床を稼働させると、看護師と医師は単純計算で約60人の看護師、10人近くの医師の投入が必要となります。しかし人手を増やさず対応するので、どうしても一般診療に影響が出て来ます。現在も一部の診療に影響が出ています。
人手のない中、ギリギリの経営をしている医療機関にとって、コロナのための病床確保は至難の技です。赤字経営も覚悟ですが、「助けられる命を助けたい」という医療従事者の思いと現実との乖離が、さらに医療従事者の皆さんを苦しめています。
PCR検査は、現在の40枠を100枠に増やす予定です。年末年始も検査を実施します。(保健所や診療所からの紹介者のみ)
厳しい状況の中で医療従事者の皆さんの支えになっているのは、患者さんからの感謝の言葉だそうです。市内の学校では、校舎の窓にお医者さんや看護師さんなどへの感謝の言葉が大きく張り出されていました。
求められる政治の役割
私たち一人一人が感染予防を徹底するとともに、検査体制、病床、人手確保、GOTOキャンペーン事業の中止など政治の果たす役割が緊急に求められています。
八尾市ではコロナ対策としての事業者への給付事業の際にアンケート調査を行いました。平均3割の減少率で今後の見通しは、50%が悪化と答えています。10万円給付の未申請者の訪問事業も行われており、調査結果が報告されました。党市議団は、行政が市民の暮らしや中小零細事業の状況をつかむよう求めてきました。
党議員団として今後も、コロナ禍の中で市民の命と営業、暮らしを守るために全力を挙げます。
(大阪民主新報、2020年12月20日号より)