若者に広がる食料支援
連帯の輪よりどころに
民青などが「フードバンク」
新型コロナ禍で、「バイトを辞めさせられた」「学費が払えない」など生活苦が続く学生を応援しようと、日本民主青年同盟(民青同盟)を中心にした食料支援活動「フードバンク」の取り組みが、全国で広がっています。大阪でも民青同盟や地域の実行委員会などが2020年末までに各地で計33回開き、延べ2千人以上が利用。新型コロナの収束が見えない中、食料支援を通した温かい連帯の輪が、学生たちのよりどころになっています。
延べ2000人以上が利用
8月から毎月開催学生も力合わせて
和泉
民青同盟阪南地域連絡会は、和泉市の桃山学院大学に近い会場で「フードバンクプロジェクト」を8月から毎月取り組み、2020年12月19日に第5回目を開催しました。日本共産党の「しんぶん赤旗」読者などから寄せられた食材や日用品を満載した自動車が到着すると、最寄りの学生寮に暮らす学生たちも合流し、ボランティアの民青同盟らと力を合わせて運搬、設営を行いました。
食材を持ち帰った後、再び日用品を取りに来た3回生の男子学生(21)は、「学費は親が出してくれ、あとは自分で頑張ろうと洋食屋でバイトしていたが、回数が3分の1に。家賃が払えなくなり、親に援助を頼んだときはつらかった。そんな時にフードバンクと出会って助かっている」と語りました。
高学費問題への関心高まる
会場では学生アンケートや生活相談も実施。阪南地域連絡会責任者の福岡明恵さん(29)は、コロナ前よりも高学費への関心が高まっていると指摘します。「オンライン授業なのに同じ学費なのはおかしいと、9割方の学生が学費は高いと実感しています。学費負担の軽減などで、出会った学生たちと共に考え、力を合わせていきたい」と語ります。
「ここに来れば若い人たちの笑顔と出会えます」と語るのは、岸和田市からボランティアで参加した岸田美代子さん(71)。「フードバンクの取り組みが、学生さんたちがもっと政治や社会に目を向けることにつながってほしい」と話します。
そんなことあるのと学生たちが行列
吹田
民青同盟吹田摂津地区委員会は12月10日、吹田市にある関西大学の正門近くの酒屋さんの店先を借り、「学生応援ふ~どばんくプロジェクト」を初めて開催しました。「しんぶん赤旗」読者などに食料の提供やカンパを呼び掛け、大学周辺の学生マンションにビラを配布するほか、ツイッターでも告知しました。
当日は、白米2㌔、パスタとパスタソース、カップ麺などを詰め合わせた一人一人の学生に配る「基本セット」を70組用意。乾麺、ダイコン、みかん、ペットボトル飲料、各種調味料、日用品などは自由に持ち帰れるように並べました。
午後4時の開始前から、「何をやっているのですか」と学生が立ち寄り、あっという間に行列ができました。「無料の食料支援です」との説明に、「そんなことってあるんですか」「うれしい!泣きそう」「今月残り2千円だけだったので、すごく助かる」と歓声が。下宿生で1回生の男子学生(18)は、「仕送りは10万円で、家賃が5万円。アルバイトもできず自炊でしのいできたので、ありがたいです」と話しました。
次回からはボランティアで
この日は約100人が利用し、用意した食材はほぼすべて提供。アンケートには「バイトを探しているが見つからないので、お金がない」「オンライン授業だったので、学費を減額してほしい」などの切実な声が寄せられました。「次回以降のボランティアに参加したい」という学生も。同地区委員会では1月21日に第2回目を計画しています。
「実家に帰れない」「友達ができない」
八尾
民青同盟八尾柏原地域連絡会などでつくる「フードバンクプロジェクト」も12月19日、八尾市にある大阪経済法科大学の近くで、保育園の駐車場を借りて1回目の食料支援を行いました=写真。利用した学生からは歓迎の声とともに、深刻な実態が寄せられました。
1回生の男子学生(19)は「4月に入学したが一度も大学に行っていない。飲食店でバイトをしていたが、シフトを月2回しか入れてくれなくなった。掛け持ち禁止なので辞めて他のバイトを探したが、どこも募集していない。富山県の実家に帰りたいが、感染者の多い大阪からだと帰れない。友達もおらず、ずっと一人で過ごしているのがつらい」。
別の1回生の男子学生(19)は、「大学には何度か行ったが、友達がまだできない。岡山県から出てきて大学生活にわくわくしていたのに、全然違うことになった。そんな時にフードバンクのチラシを見た。とてもありがたい」。
(大阪民主新報、2020年12月27日・2021年1月3日合併号より)