全員・一斉・定期的検査を
高齢者施設など対象に 共産党府議団が予算要望
日本共産党府議団は22日に大阪府の来年度予算と施策について、吉村洋文知事宛てに要望しました(詳細は「重点要望(抜粋)」へ)。石川たえ団長は新型コロナウイルス感染について、「検査対象を症状のある人に限定せず、感染力のある無症状者を早期発見・保護すべき」と、特に医療従事者や高齢者・障害者施設の職員・利用者全員に定期的な検査をするよう求めました。
府の検査能力について吉村知事は、「1日当たり最大2万件にする」と表明しています。しかし現在までの1日当たり最大検査数はその半分程度にとどまっています。
石川府議は、「高齢者施設でクラスターが多発している。無症状でも検査対象にして、重症化する人を減らす以外に、今の医療体制で病床逼迫率を下げる道はない」と強く求めました。内海公仁府議は、「この1年間の教訓を踏まえた対応が必要だ」と主張しました。
これに対し府側は、「限りある資源を有効に使うためには、症状のある人への検査が基本だ」との姿勢を崩しませんでした。
要望は最重点項目に、コロナ受け入れ医療機関への減収補填やコロナ禍で収入減少・雇い止めなどの影響を受ける非正規労働者への給付金制度創設、府内全事業所への影響調査と規模に応じた「時短協力金」の増額、全公立小中学校で35人学級編成に直ちに踏み出すことなどを挙げています。
少人数学級実現に踏み出せ
小中学校では、昨年の突然の臨時休校の影響で履修が遅れています。年度内の履修のために、詰め込み授業となっています。
石川府議は、「密になる環境で、密になる時間も増えている。この機に少人数学級に踏み出していくことが、子どもたちを心身共に健やかに育てていく教育環境をつくる道だ」と主張しました。
2021年度の予算編成並びに施策についての重点要望(抜粋)
2021年1月22日 日本共産党大阪府議会議員団
日本共産党府議団が22日に大阪府に対して行った予算要望の主な内容は次の通りです。
はじめに
新型コロナウイルス感染拡大による2度目の緊急事態宣言が発令されました。感染拡大の波は繰り返すごとに高まり、府内では全国最悪の水準で死者と重症者が発生しています。
医療機関や福祉施設で相次ぐクラスター、〝医療崩壊〟の危機と保健所のひっ迫、出口の見えない「自粛要請」による商工業の売り上げ減、非正規労働者の首切り・収入減、〝子どもの貧困〟の拡大や教育現場の困難―府内すみずみから湧き起こる悲鳴は、住民の生命と生活を守るという本来の大阪府の役割を切実に求めています。
ところが知事は、この悲鳴に耳を貸さず、夢洲へのカジノ誘致、不要不急の交通インフラ建設、「スマートシティ」戦略、「国際金融都市」などの推進に固執し、コロナ禍から府民を守る取り組みを事実上後景に追いやっています。「大阪府市一体改革」「府市一元化」に至っては、2度の住民投票で大阪市民が下した判断に真っ向から背くものであり、言語道断です。
府がただちに行うべきは、「財政再建」などを口実に公衆衛生と医療、雇用と中小企業への支援を後退させてきたこれまでの府政運営を反省し、医療・検査体制の抜本強化と雇用・営業・教育現場への支援を始め、府民と子どもの生命と暮らしを守りぬくためにあらゆる手を打ち尽くすことです。
この立場から、以下の内容で2021年度予算編成を行うことを求めるものです
最重点項目
①医療従事者および、高齢者・障がい者を始めとする福祉施設の従事者と利用者に、コロナの全員・一斉・定期検査を行う。
②コロナ患者受け入れ医療機関の経営悪化を防ぐために、減収分の全額補填を行う。
医療機関への支援は、新たにコロナ患者を受け入れた医療機関に留めず、コロナ対応を行っているすべての医療機関への支援に拡大する。
一般クリニックや歯科医院など、コロナ禍により減収となった医療機関への経営支援、財政支援を行う。
③コロナ禍のもとで収入減少や雇い止めなどの影響を受けている非正規雇用労働者への、一定期間継続した「くらし支援緊急給付金」制度を創設する。
④全事業所へのコロナ禍による影響調査を市町村と協力して実施し、実情に即した直接支援策を実施する。
「営業時間短縮協力金」の支給額は、現行を下限として事業規模や雇用者数に応じて増額する。
⑤教室での身体的距離を確保し学習環境を整えるためにも、国の制度実施待ちにならずに、府として府内全公立小中学校で35人学級編成に直ちに踏み出すとともに、30人、20人学級編成の検討をすすめる。
◇
(以下抜粋)
2度の住民投票で明確に結論が下されたにもかかわらず、政令指定都市の権限を侵す「大阪府市一体改革」「府市一元化」と称した条例づくり計画は直ちに中止する。
保健所への財政措置は2007年度の水準まで直ちに引き上げる。府内すべての保健所に、保健師を始めとする専門職員、事務職員を大幅増員し、コロナ対策に当たる。
国保料の〝コロナ減免〟を2021年度も継続するよう国に求める。国が行うまでは府として実施する。
コロナ禍で仕事を失った人を積極的に雇用する制度を創設する。
国際社会がコロナ禍にあるもとで破たんが明確になりつつある、カジノをエンジンとした統合型リゾート施設(IR)の大阪への誘致は中止する。
児童扶養手当に、子ども1人当たり1万円を少なくとも半年間上乗せ給付する制度を創設する。DVなどで離婚が成立せず対象外となっているひとり親世帯も申請による給付が行えるようにする。
文化団体、芸術家などのコロナ禍での活動、減収などの実態調査を行う。
(大阪民主新報、2021年1月31日号より)