制度いじりはもうやめよ
政令市〝骨抜き〟する「広域一元化条例」案
よくする会・明るい会など運動強化
住民投票の民意に従え
大阪市を廃止・分割する、いわゆる「大阪都」構想の賛否を問う住民投票(昨年11月1日)で反対多数となり、政令指定都市・大阪市の存続が決まったにもかかわらず、大阪維新の会(代表・吉村洋文知事)は、10日開会した大阪市議会、25日に開会する府議会に、条例で大阪市の権限を府が奪う「広域一元化条例」案を提出しようとしています。これに対し、大阪市をよくする会(よくする会)や明るい民主大阪府政をつくる会(明るい会)、市民らが「制度いじりをやめ、コロナ対策に集中を」と取り組みを強めています。
4月1日施行をねらう暴走振り
府と大阪市は1月22日の副首都推進本部会議で、「広域一元化条例」案の骨子を決めました。知事を本部長、大阪市長を副本部長とする副首都推進本部会議を条例に明記し、「成長戦略」や「まちづくり」に関する施策について、大阪市が府に事務委託して一元化することなどが柱。骨子へのパブリックコメント(住民意見の募集)を20日まで行った上で、府市両議会に条例案を提出し、4月1日の施行を狙うという暴走ぶりです。
地方自治の流れに逆行するもの
よくする会城東区連絡会は6日、大阪市城東区内で条例案の学習会を開きました。
講演した同会の中山直和事務局次長は、政令指定都市・大阪市の存続が決まった住民投票の民意に反し、成長戦略の策定や都市計画という大阪市の重要な権限が府に奪われ、大阪市は格下げになると強調。基礎自治体を強化する地方分権、地方自治の流れに反すると述べました。
副首都推進本部会議での「合意」が、府市それぞれの意思決定や両議会の議決を拘束することになれば、団体自治権や議会の議決権を侵害することになると指摘。合区が必要な「8区総合区」を導入する条例案について維新と公明が今議会での提出を見送ることで合意したというが、そもそも法定協議会で廃案になったものであり、市民の議論もなく決めることなどあり得ないと語りました。
背景にあるのは維新の党利党略
中山氏は「広域一元化条例」案を維新が持ち出した背景には、看板政策の「都」構想が2度の住民投票で否決されて打撃を受けたため、組織を防衛し、総選挙で勢力を拡大するために、「改革ポーズ」で市民の支持をつなぎとめるという党利党略があると指摘。「『松井市長は住民投票の民意を守れ』『せっかく残した大阪市を骨抜きにしたらあかん』『4月施行とはやり方が無茶苦茶』と、条例の問題点を伝えよう」と呼び掛けました。
(大阪民主新報、2021年2月14日号より)