おおさかナウ

2021年05月17日

医療体制の立て直し急げ
医師・看護師派遣、広域搬送を
日本共産党 清水ただし議員が追及
衆院予算委

 「大阪ではすでに目の前の命を救えない状況が生まれている」――日本共産党の清水ただし衆院議員は10日、衆院予算委員会で質問し、新型コロナの感染急拡大で医療崩壊の危機にある大阪の実態や最前線で奮闘する医療従事者の生の声を示し、府民の命と健康を守るために政府の責任で医療提供体制を立て直すよう、菅義偉首相に迫りました。

大阪府の責任は重大 首相も責任問われる

1・6万人が入院できない

質問に立つ清水ただし衆院議員=10日、衆院予算委員会(「しんぶん赤旗」提供)

 清水氏は、大阪の重症病床使用率が5日に100%を超え、自宅やホテルで療養する人が1万6千人に上り、全感染者のうち9割が入院できないと指摘。「救急車を呼んでも搬送先の病院が見つからず、救急車の中で47時間過ごした人や、ようやく病院にたどり着いた時にはすでに亡くなっていたという事例もある」とし、「大阪府の責任は極めて重大だが、菅首相自身の責任が問われる」と述べました。
 清水氏は、大阪で重症病床が不足している原因は、医師・看護師などの人材不足にあり、「大阪だけでは医療資源が枯渇している状況だ」と強調。全国から看護師だけでなく、医師を大阪に派遣するとともに、重症患者の府県域を超えた広域搬送について調整するよう求めました。
 田村憲久厚労相が「医師は調整が難しく、看護師のようにはいかない。広域搬送は時間がかかるので難しい」と答えたのに対し、清水氏は「できないという答弁だ」と反論。菅首相が東京オリンピック・パラリンピックのために500人の看護師を確保するのは可能だと発言していることを示し、「その500人をすぐ大阪に派遣すべき」と述べ、広域搬送でも責任を果たすよう求めました。

〝修羅場〟の訪問診療 十分な支援行うべき

 清水氏は、自宅療養せざるを得ない患者の命を救うために、訪問診療で奮闘している医師が「修羅場のような形で頑張っている」と力説し、東大阪生協病院の橘田亜由美院長の診療を紹介。コロナ患者1件当たりの往診には、防護服の着脱や丁寧な消毒などで1時間を要する中で、「今の診療報酬では見合わない。点数を引き上げるか、加算してほしい」との訴えが寄せられているとしました。

当然設けるべきと首相答弁

 「訪問診療の実態をすぐ行い、十分な支援をするべき」と清水氏が求めたのに対し、菅首相は「訪問診療で大変なご苦労をかけている皆さんには、心から感謝とお礼を申し上げたい。診療報酬については、当然そうしたことは設けるべきだと思う」と答えました。
 清水氏は神戸市や門真市の高齢者施設でクラスターが発生し、2つの施設だけで38人の入所者が死亡するなど、深刻な実態があると指摘。必要な重症病床の確保や医師・看護師の派遣、広域搬送の調整などの課題について、菅首相自身が直接、大阪や関西の医療従事者や介護従事者から要望を聞くよう求めました。

(大阪民主新報、2021年5月16日号より)

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