おおさかナウ

2021年05月17日

大門実紀史の国会レポート
知恵はアナログにあり

大門実紀史参議院議員

 コロナ感染が深刻化するなか、国会は感染対策に全力を集中すべきです。にもかかわらず、医療法改定案を含め悪法の審議が次々と進められています。特定商取引法改定案もその一つ。同法はマルチ商法などから消費者を守るための法律で、契約書は紙の書面で交付することが義務付けられてきました。
 ところが今回の改定案では、メールで送りつけた書面に承諾ボタンを押せば契約が成立したことにするというのです。ジャパンライフ事件ではたくさんのお年寄りが騙されましたが、契約書が紙であることで家族や友人などが契約に気づき、被害に歯止めをかけることが出来ました。悪徳業者にデジタル化を許すなど、やくざに凶器を与えるようなものです。全国の消費者団体や弁護士会からも反対の声が上がっています。
 3月30日の参院財政金融委員会で、麻生太郎・副総理に見直しを求めたら「ご指摘はごもっとも。井上担当大臣に大門先生に相談するよう言っておいた」と答えました。共産党議員に相談しろと言われた井上大臣はさぞや困ったことでしょう。
 現在、野党は書面のデジタル化を削除する対案を共同で国会に提出しています。何でもデジタル化すればいいというものではありません。私たちの住む現実世界は、質も量も温度もあるアナログの世界です。アナログの手間が掛かることのなかにこそ先人の知恵が蓄積されています。「あんたアナログ人間やなあ」とは、ばかにされているのではなく、褒め言葉なのです。(だいもん・みきし 参院議員 第3週掲載)

(大阪民主新報、2021年5月16日号より)

月別アーカイブ