おおさかナウ

2021年05月03日

岸和田市が保育所・幼稚園・小学校の大削減計画
市民と連帯し計画阻止へ
日本共産党岸和田市議団幹事長 中井良介

 岸和田市の維新市政下で行われている保育所・幼稚園・小学校の大削減計画について、日本共産党の中井良介同市議団幹事長の寄稿文を紹介します。

市民に説明なく「新プラン」を策定

中井良介氏

 岸和田市(永野耕平市長)は幼稚園23園、保育所11カ所の計34施設をわずか6園に減らそうとしています。「身近な子どもの施設をなくさないで」と市民のたたかいが続いています。
 2018年2月、維新府議だった永野氏が岸和田市長に就任しました。永野市長は、当時、市が取り組みを開始していた財政再建プランが不十分だとして、府から招いた副市長と行革担当理事を中心に「新行革プラン」を策定させました。
 「新行革プラン」は市の「構造的課題」として、①時代に合わない施策を続けている、その例として幼稚園や公民館が多いこと、②国府の基準への上乗せ、横出しがある。(保育士の加配、社会福祉法人への補助など)、③歳入増の取り組みに「受益者負担」を追加しました。
 市は「新行革プラン」の実施に当たって市民に説明することも、意見を聞くこともなく、担当課も「プランにあるから」としか答えられません。「新行革プラン」を市民にも職員にも強権的に押し付けてきました。
 保育士の配置は、1歳児の場合で国基準は保育士1人に対し子ども6人。市は1対4です。近隣市も1対5に改善しており1対6はありません。
 日本共産党市議団は子どもの安全や子育ての大事さが指摘され、国も保育士の配置基準の改善に取り組もうとしているときに、遅れた国基準に保育水準を後退させるのか、国基準だけでやるなら地方自治の値打ちはない、と議会で追及してきました。

子ども、市民の施設削減計画のオンパレード

 「新行革プラン」には、市の施設の6割を占める学校施設や幼稚園・保育所、公民館の削減をはじめ、削減や民営化等の予定施設を列記。国が自治体に公共施設の大規模な統廃合を迫る中、永野市長は、住民の生活や地域社会存続に重要な役割を果たしている施設を守る姿勢を見せず、19年3月の施政方針では、「市立幼稚園、保育所を認定こども園化および民営化する」とし、さらに小学校についても「24校中8校が学年1クラスのため、適正規模、適正配置の実施計画を策定する」と示しました。
 「新行革プラン」と施政方針に沿って、幼保のあり方検討委員会が19年8月に設置され、10月まで5回、月2回開催の異例のスピードで会議が開催されました。毎回多くの市民が傍聴席を埋め、審議を見守りました。
 検討委員の議論も真剣に行われ、議論の焦点となった「公立施設の意義、役割」が答申にも書き込まれました。答申は「障害の有無、所得の寡多等にかかわらず、だれでも等しく教育・保育を受ける権利をする必要がある」とし、子どもの基本的人権の保障の要請に応えることが市の責務であること、「公正中立の公共の立場を活用し、児童虐待、子育て支援等の課題にたいし、関係機関を結び付ける役割」を市(施設)に求めています。
 ところが答申を受けた市の再編方針は、公立施設の役割には一切触れず、施設を残すことも明記しないものでした。
 市の方針を決める前の19年10月、市の総合教育会議で、教育委員会が検討委員会の答申に沿った再編方針を市長に説明したのに対し、永野市長が反論。「資料にある『公の責務』に、1つとして納得できるものがない」「公立の保育所や幼稚園を1園でも多く残せば、子どもが大人になったときに税金の負担になる」「公立の必要性を示せ」などと教育委員に迫りました。
 「新行革プラン」を巡っては父母や市民、教育関係者のたたかいが高まるとともに、議会の中でも再編方針に批判が出てきました。市民のたたかいと議会が連動して、20年度予算案の再編方針実施分は圧倒的多数で修正削除されました。幼保再編はいったんストップしました。
 しかし市は昨年10月、今度は市立こども園を6カ所建設する再編方針の改訂版をつくり、再編を進めようとしています。幼稚園23園と保育所11カ所の34施設を、わずか6園に減らすというものです。市民のたたかいが続いています。

現場の意見聞かずトップダウンで学校統廃合狙う

「身近な子どもの施設をなくさないで」と宣伝する人たち=4月23日、岸和田市内

 幼稚園や保育所と同様に、学校の「適正規模、適正配置」の審議会が18年10月から19年10月まで開催され、答申が出されました。
 審議会では、教育委員会の諮問にはない学級規模も大事なことだと議論され、25~35人が適切と市の努力を求めています。学校規模については、12~18学級の学校が「適正」だが、あくまでも標準的で目安を示すものとしました。
 しかし市の20年2月の再編方針では、「小中学校とも8学級以下は適正化の対象」と小規模校の統廃合を打ち出しました。
 教育委員会は小規模校について、「クラス替えができない」「多様な考えに触れる機会が少ない」などの「欠点」を指摘します。しかし、日本共産党が市議会で「小規模校の教育に問題があるという根拠や調査結果があるか」と追及すると、「中央教育審議会が述べている」と回答。「一定規模の人数が必要というが、何人か」と聞くと「おおむね500人から700人」と答弁し、さすがに多すぎると思ったのか「それほどの人数が必要とは限りません」と付け加え、「小規模校の問題」というのも何の根拠も示すことができません。
 教育委員会はさらに、20年12月、統廃合の個別計画とともに小中一貫教育方針を突如出してきました。「案」もなく、学校現場などの意見を聞いてでなく、トップダウンのやり方です。
 改訂された再編方針では、2つの小規模の中学校内に統合した小学校を配置して、1期計画では6小学校が廃止されます。
 これに対して、廃校となる校区の住民たちが統廃合を考える会をつくり、学習会やアンケートに取り組んでいます。アンケートには「地元の学校を残してほしい」の声や、小中一貫教育への疑問などが寄せられています。住民は「コロナ禍の下で、小規模だからとてもやりやすいと校長先生も言います。こんないい学校を守りたい」と語っています。
 日本共産党市議団は、「来年2月に市長選挙があります。維新市政を転換して、身近な保育所や幼稚園、学校を守るために、広範な市民との共同をつくってたたかう」としています。

(大阪民主新報、2021年5月2日・9日号より)

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