文化・芸術守るため国は支援を
貧困な文化行政変えて
共産党府委 劇団など訪問し懇談
文化・芸術分野へのコロナ禍の影響をつかみ、要望を聞き取ろうと、日本共産党府新型コロナ関連対策本部長の辰巳孝太郎前参院議員や衆院候補が、劇団員や音楽関係者を訪ね、懇談を重ねています。
人形劇団クラルテ
人形劇団クラルテ(大阪市住之江区)との懇談(1日)には辰巳氏、西田さえ子・衆院近畿比例候補、わたなべ結・大阪3区候補が参加。クラルテからは鶴巻靖子代表、劇作・演出担当の東口次登常任委員、企画制作部の松澤美保、隅田芳郎の両氏が応対しました。
ほとんどの公演が中止や延期に
クラルテは1948年の創立以来73年、学校公演や幼児向けに全国を巡る「おひさま劇場」、近松門左衛門やシェイクスピアなどの名作を取り上げた大人向けの舞台、人形劇の普及・向上のための講習会などの活動を続けてきました。
新型コロナの感染拡大で昨年2月末から7月半ばまで、ほとんどの公演が中止・延期に。緊急事態宣言の発令が繰り返される中、東口氏は「年間予算が立てられない。いま決まっている公演も、できるかどうかわからない」と語り、鶴巻氏も「うちは(経営的な)体力はあるが、少人数の劇団は大変だ」と話しました。
緊急事態宣言が発令されていない時期の公演では、劇団の費用で民間のPCR検査を受けるなど努力してきました。鶴巻氏は、公演先の学校や保育園でも定期的にPCR検査が行われれば、安心して公演できると語りました。
小さな劇団は国の眼中にはない
劇団側からは、文化芸術分野でのコロナ対応の助成金は大きな劇団が対象で、子どもを対象にした小さな劇団は眼中にないとの声も出されました。
辰巳氏らは「コロナ禍は災害級の事態。ところが大本の政治には、文化芸術を守るために、まずお金を出すという姿勢がない」「ドイツなどと違い、日本は文化行政へのまなざしは貧困」とし、感染拡大の封じ込めや文化行政の向上へ引き続き力を合わせていきたいと語りました。
関西ジャズ協会
NPO法人関西ジャズ協会(大阪市福島区)との懇談(2日)には、辰巳氏と、宮本たけし衆院近畿比例・大阪5区候補、西田さえ子衆院近畿比例候補が参加しました。協会からは、澤崎至事務局長、田中ヒロシ副会長らが応対しました。
音楽や文化は人間の証と声明を
新型コロナ禍で音楽ライブ中止など業界全体が苦境に立たされる中、関西ジャズ協会は、「音楽や文化は人間の証です」と呼び掛ける声明文を発表しました。ミュージシャンら関係者の生活と表現の場、ライブハウス・ホール関連業の経営を守るため専門家と行政、ジャズファンと知恵を合わせ打開策に取り組んできました。
懇談の席上、澤崎至事務局長は、昨夏からアーティスト応援のためのオンライン配信など、ジャズファンとライブハウスをつなぐ新しい取り組みを続けてきたと活動を紹介。
ドラマーとして演奏活動を続ける田中副会長は、「月に15~20本あった仕事が先月は2本。どう生計を立てていけばよいのか」と語り、「音楽文化が破壊されるのを黙ってみているわけにはいかない。今後も全力で支援活動を続けていきたい」と述べました。
知的価値に対する正当な対価を
大阪市西区でライブハウスを経営する前田法利氏は、ライブやイベントが激減し、家賃など固定経費の負担は限界だと指摘。ミュージシャンだけでなく音響スタッフや機材メンテナンス、調律師や事務スタッフなど関連業者誰もが仕事がなくなり苦しんでいると語りました。
宮本氏は「ジャズを心から愛し日々技術を磨いている皆さんにとって、音楽は人生そのものだと思う」と語り、芸術分野の知的価値に対する正当な対価が保障されるべきだと語りました。
辰巳氏と西田氏は、文化庁が行うアーティスト支援事業の改善の必要性を指摘。「かけがえのない文化を守るために、政治がしっかり役割を発揮しないといけない」と語りました。
(大阪民主新報、2021年6月13日号より)