緊急事態宣言のさなか、「密室」で
大型開発中心の計画進める堺市と府
日本共産党堺市議団幹事長 森田晃一幹事長
堺市が大阪府、大阪市と強行した「大阪広域ベイエリアまちづくり推進本部会議」について、日本共産党堺市議団の森田晃一幹事長の寄稿文を紹介します。
堺市議会6月定例会で日本共産党堺市議団は、乾恵美子議員が大綱質疑に立ち、コロナ対策、生理の貧困問題、生活保護の扶養照会などについて質問しました。その中で、「大阪広域ベイエリアまちづくり推進本部会議」を巡る永藤英機市長の答弁は、不誠実さが際立ちました。
非公開で「まちづくり」審議
吉村知事をはじめ、松井大阪市長、永藤堺市長は、医療崩壊で緊急事態宣言中の5月11日に、第3回「大阪広域ベイエリアまちづくり推進本部会議」(ベイまち会議)の開催を強行しました。同会議において堺市は、同会議の下部組織として設置された「専門部会」で出た意見を反映した「(仮称)堺駅・堺旧港周辺活性化ビジョン素案」なるものを示しました。
私たちが調査段階で市の担当課に「専門部会」の構成員名簿と議事録を求めたところ「非公開」だとして拒まれました。それはおかしいと再び求めたところ、構成する組織が、大阪府住宅まちづくり部、大阪港湾局、堺市建築都市局の職員はじめ、南海電気鉄道株式会社、堺商工会議所であることが分かりましたが、議事録やその他資料は一切出しませんでした。
同部会は、大阪全体の開発に関わる「大阪広域ベイエリアまちづくりビジョン素案(以下、ベイまちビジョン)」にも意見が反映される、中核的な組織です。市民には「財政危機」を叫ぶ一方で、公金を万博やカジノ・IR(カジノを中核とする統合型リゾート)が絡む大型開発に投入し、会議は「密室」で進め、過去の経過を知ろうとする市民の知る権利をも侵害するものです。
堺市のことが勝手に決められ
また、第3回「ベイまち会議」においては、「新しいまちづくりのグランドデザイン(グランドデザイン・大阪)」と「ベイまちビジョン」の関係性が「深く関連するもの」であるとのやり取りがありました。「グランドデザイン・大阪」とは、「広域行政一元化条例」に基づく「副首都推進本部(大阪府市)会議」の主目的である、大阪市の大型開発中心の計画です。
乾議員は、「堺市も範囲とする『グランドデザイン・大阪』が対象となる広域行政一元化条例で設置された副首都推進本部(大阪府市)会議において、堺市の意見は担保されるのか」と質しました。
永藤市長は「おっしゃるところの問題点がよく分からない」と言いつつ、「堺市に関係することであれば(中略)、出席できないということであれば(中略)意見が述べられないまま決まることになる」と答弁しました。「堺市のことが勝手に決められる」と思わず口走ったのです。また、「意見が担保される」とも言い切れなかった事が重大です。
また、永藤市長はこの間、「都構想」を「選挙の争点にしない」と逃げてきましたが、乾議員は「住民投票の結果を受けて都構想を断念すると表明せよ」と迫りました。
やるべきは市独自のコロナ対策
永藤市長は「都構想は区切りがついた。もうついえた話」とは答えましたが、それが本意なら「都構想」の真の狙いをむき出しにした「広域行政一元化条例」を批判しているはずです。
そして、よほど悔しかったのでしょう。維新議員が市長をかばうために非公開を良しとするような反論をしてきましたが、完全にピント外れでした。
今やるべきは、「府市連携」の名を都合よく使った「バーチャル・都構想」ではなく、政令市の権限を最大限に生かした堺市独自のコロナ対策です。
市民の命を守るため議員団一同、引き続き頑張る決意です。(もりた・こういち)
(大阪民主新報、2021年6月20日号より)