おおさかナウ

2021年06月05日

病床確保・検査の拡大で府民の命守れ
大阪府議会本会議
石川日本共産党府議団団長が要求

 日本共産党の石川たえ府議団長は5月31日の府議会本会議で一般質問に立ち、吉村洋文知事に対し、新型コロナウイルス感染拡大で重症病床は依然逼迫しているとし、医療スタッフ派遣を国に求めることや、「第5波」に備え、医療機関や高齢者施設を支えつつ病床を確保し、無症状者や変異株を見つけ出す検査の抜本的拡大などを求めました。

「第4波」で医療と命の危機

 激しい感染拡大となった第4波で、大阪では医療崩壊と命の危機が今も続いています。死者は2299人(5月30日時点)で、人口当たりの数は全国平均の約3倍です。ピーク時の療養者数は第3波の3倍以上、自宅療養者や入院調整中の患者があふれました。

医師・看護師の派遣要請を


府議会本会で質問し、病床確保やPCR検査拡大、国への医医療スタッフ派遣要請などを求める石川府議団長=5月31日、府議会本会議場

 4月22日に日本共産党府議団は府に緊急要望し、医療従事者を数千人規模で派遣するよう国に要請することを提案していました。しかしその後も、府の派遣要請は看護師75人にとどまりました。
 吉村知事は「コロナ受け入れ医療機関から医師の派遣要請がなかった」と述べました。しかし医療機関側は「医師必要の有無を聞かれてもいない」と述べ、府の担当課も「全医療機関に聞いたわけではない」と認めています。
 看護師は直近で145人が国から派遣されていますが、重症対応看護師70人中、重症センター以外の重症受け入れ医療機関へ配置されたのは10人でした。
 石川府議は「宿泊機関や自宅療養者と、あらゆる場面で医師・看護師が必要とされていたにもかかわらず、重症センター以外には積極的に派遣する姿勢がない」と厳しく批判。「いまなお重症病床は逼迫している。いまからでも国に医師や看護師の派遣を求めるべきだ」と迫りました。

500床の重症病床確保を

 石川府議は「第5波対策として重症病床確保が必要」と提案。府専門家会議委員が「少なくとも重症者数500までに耐えうる整備を」(倭=やまと=正也・りんくう総合医療センター感染症センター長)と求めていることを紹介し、「病床確保は医療機関への減収補填や支援強化なしにできない。しっかり支えつつ重症500床の確保を」と求めました。
 吉村知事は「確保した重症数をオーバーフローした第4波の経験も踏まえ、病床確保計画の見直しを検討する」と応じました。

あまりに無責任な病床削減

 第4波の前、府は2月19日に緊急事態宣言の解除要請を決定し、3月1日の解除とともに病床確保数を引き下げました。運用していた重症病床223床を、4月1日には156床まで減らし、同月13日に重症患者数が実運用数を超えました。
 吉村知事は「これまでにない変異株の拡大スピードで、重症患者が急増した」と病床削減を正当化。石川府議は「現場の声も聞かず、あまりに無責任だ」と批判しました。
 重症受け入れ医療機関を支援する国の交付金について、軽中症受け入れ病院が重症者を受け入れても申請できないと石川府議は指摘。吉村知事は「国の判断による」と応じましたが、石川府議は「厚労省はできると言っている。重症者を受け入れた病院は対象になると通知せよ」と迫りました。

検査体制強化が感染制御に

 石川府議は、感染力のより高いインド型変異株を見つけ出すスクリーニング検査の拡大が必要と指摘しました。府が5月11日に定めた改訂検査体制整備計画では、従来株からイギリス由来株へほぼ置き換わったとして、スクリーニング検査の縮小を打ち出しています。
 吉村知事は同検査を「全例に対し行うことは困難」と述べましたが、石川府議は「早い段階で全件検査を行うことが感染制御につながる」と主張しました。
 また同計画は、通常検査や高齢者施設での定期検査など全ての検査において「需要を満たす検査能力を有している」と明記しています。
 石川府議は、「これまでの実績を需要数としているだけで、拡大する気がないということだ」と現状を指摘。「認識を改め、整備計画の抜本見直しを」と求めました。

高齢者施設の検査の継続を

 高齢者施設職員対象の集中検査で、全国で175人の陽性者が発見されています。うち大阪は101人と過半を占めました。石川府議は6月までとされている同検査の継続を求めました。
 また対象施設の半分以上が検査を受けていないとし、「万一、感染者の発見で休所しても廃業にならないよう、支援制度の創設を」と提案しました。
 吉村知事は「国制度を活用し経費を補助する」と述べるにとどまりました。
 石川府議は、保育所や学校などでの職員全員の定期検査や、感染者が発見された際の児童・生徒を含む全員検査を求めました。
 吉村知事は「保健所長の判断により幅広に検査を行う」と従来の姿勢を崩しませんでした。
 府と国が連携して行う繁華街やターミナル駅などでのモニタリング検査について、吉村知事は「感染拡大の兆候を把握するには至らなかった」と主張。しかし石川府議は「1日500個程度の配布で、兆候をつかめるはずがない」、「幅広い検査を最低一日2万件実施すべき」と指摘しました。

病床確保交付金概算払いに

 第4波で府は中軽症受け入れ病院に対し、「患者が重症化した場合も入院を継続」、2次救急医療機関には「受け入れ患者が陽性になった際も、中軽症の場合は入院を継続させ、夜間・休日も受け入れ態勢を確保」を要請。また各医療機関に「休止した病床の運用」「フォローアップセンターからの入院依頼には原則応じること」「正当な理由なしに協力に応じなかったときは勧告」などと病床確保を迫りました。
 一方で、コロナ患者受け入れ医療機関を支援する病床確保補助金は、昨年度分の支給率が年度末でも約6割に止まっていました。日本共産党は昨年から早期の全額支給を繰り返し求めてきました。
 この日、吉村知事は昨年度分は5月26日に支払いを完了したと報告し、今年度上半期分の補助金は迅速化などのため「概算払いに変更した」と述べました。

15道県が少人数学級を拡充

 「小学4年生以上の15~30%のこどもに中等度以上のうつ症状」と、国立成育医療研究センターが第4回「コロナ×こどもアンケート」で報告しています。政府はコロナ対策として少人数学級を進めています。
 石川府議は「いますぐ、せめて小学校全学年での35人学級に踏み出すべき」と主張しました。15道県が国に先駆けて少人数学級の拡充を行なったことをパネルで示すと、議場がどよめきました。

(大阪民主新報、2021年6月6日号より)

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