2021年06月05日
山下よしきの徒然エッセイ
「図書室」の文字に目頭が…
障害のある子どもたちが学ぶ特別援学校の「設置基準」案を文科省が発表しました(5月26日)。設置基準は学校の設備や編成の最低基準を定めるもの。幼稚園から大学まで他のすべての学校にあるのに、特別支援学校にだけありませんでした。
その結果、この20年で特別支援学校の児童・生徒数は1・6倍に増えたのに、学校を増やすのでなく子どもたちを詰め込むやり方が横行し、一つの教室をカーテンで間仕切りして2クラスで使う、図書室や音楽室がつぶされ普通教室に転用されるなどの事態が広がっていました。
10年ほど前から特別支援学校に設置基準をつくる運動が起こり、私も滋賀や大阪で実態を調査し、国会で問題提起してきました。こうした運動が実っての設置基準案発表です。
設置基準案を一行一行読みました。訪ねた学校で力いっぱい成長する子どもたちの姿、先生や保護者の願いが浮かんできました。そして「図書室」の文字に目頭が熱くなりました。児童・生徒の増加で図書室がつぶされ廊下に本が並んでいた学校もあったからです。
案では、図書室が「少なくとも備える施設」となっています。これからはすべての支援学校で図書室が子どもたちの成長と発達を支えてくれることになるでしょう。同じく音楽室などの「特別教室」も明記されています。
もちろん案には不十分な点もあります。しかし長年の運動が壁を動かしました。さらに良い基準となるよう、いっそう力をあわせたいですね。(やました・よしき 日本共産党参院議員 毎月第1週に掲載)
(大阪民主新報、2021年6月6日号より)