感染抑え込み・ワクチン接種・医療体制正常化
大阪市が役割果たせ
大阪市議会民生保健委 長岡ゆりこ議員が要求
新型コロナの感染拡大で医療体制の危機的な状況が続く中、大阪市議会民生保健委員会が19日開かれ、日本共産党の長岡ゆりこ議員は、感染拡大の抑え込みとワクチン接種の迅速な推進、医療体制の正常化など一連の対策強化を市に強く求めました。
福祉分野への拡充さらに
PCR検査
長岡氏は、新型コロナ感染による大阪府の死亡者数は累計で東京都を超えるなど異常な事態で、医療体制は「総崩れ状態」と報じられるほど危機的な状態だと指摘。医療体制を正常な状態に戻すためにも、行政としてやるべきことは、徹底的な感染拡大の抑え込みへ大規模なPCR検査を実施することだとしました。
大阪市は市民の世論と運動、日本共産党の論戦や要望などを受け、ことし2月1日から市内の老健施設や障害者支援施設などの従事者や関係者について、無症状者を対象に2週間に1回程度のPCR検査を実施。4月1日から対象をすべての高齢者入所施設・障害者入所施設に拡充し、同月12日からは介護度の高い高齢者が入所している特養ホームの従事者・関係者に週1回程度の検査を実施できる体制をつくっています。
長岡氏は、これに加えて介護が必要な高齢者の命綱である介護ヘルパー全員も対象にするよう要望。学校については、徳島県が県内の学校で2人以上の感染者が確認された場合、濃厚接触者に限らず、教職員や児童生徒全員の検査を実施する方針を出したことを示し、大阪市も同様の検査に踏み出すよう求めました。
身近な所で接種の工夫を
ワクチン接種
ワクチン接種を巡り、大阪市は各行政区の集団接種とは別に、見本市会場のインテックス大阪(大阪市住之江区)を大規模接種会場として運用する計画です。
長岡氏は、大阪市は基礎自治体として、身近な場所での接種を強めることが必要だと指摘。ワクチン接種に応募している900人以上の医師を、各区の集団接種会場などにも柔軟に派遣することや、献血やレントゲンのように「ワクチンバス」を仕立て、各区の福祉会館などを活用して実施するなどの具体案を示し、「市長のトップダウンではなく、現場の皆さんが市民の思いをくんで、柔軟なアイデアを出して進めるべき」と述べました。
また、市のホームページに掲載している個別接種を取り扱う医療機関の一覧について、行政区の切れ目もなく、かかりつけ患者にのみ接種する医療機関と、誰もが受けられる医療機関が混在していると指摘。「表を整理して、分かりやすく情報提供すべき」と求めたのに対し、市側は「指摘を踏まえ、早急に改善する」と答えました。
「自宅療養」者の命を守れ
医療体制
医療体制の問題で長岡氏は、「自宅療養」を余儀なくされている人が大阪市で約7千人に上り、「自宅療養」中に亡くなる例が後を絶たないとし、「その方々の命を守る方法を考えなければならない」と力説。市は答弁で、療養解除までの間、区保健福祉センターから電話などによる健康観察を行うほか、血中の酸素濃度を測るパルスオキシメーターを貸与していると説明しました。
長岡氏は健康観察が始まるのは、感染経路や濃厚接触者などを聞き取る疫学調査が終わってからで、陽性者が爆発的に増えれば調査の連絡も遅れるなどの問題点を指摘。患者の発生と死亡について府が出した報告書(17日)では、自宅か宿泊施設で死亡した人をまとめているが、自宅で亡くなった人ばかりだとし、「『自宅療養』では限界がある。命を守るため、受け入れ先の確保が急務。コロナ禍の深刻な事態を中長期的な施策に生かすことが、行政としての責任を果たすことになる」と述べました。
(大阪民主新報、2021年5月30日号より)