おおさかナウ

2021年06月26日

〝お金配ったから後は自己責任で〟
維新の会の衆院選政策
ベーシックインカムとは

 日本維新の会が5月17日、衆院選公約「日本大改革プラン」を発表しました。税制・社会保障・経済成長の3本柱で、全国民に毎月6万~10万円を支給する「ベーシックインカム(BI)」導入を目玉にしています。

社会保障削減し財源つくる

「日本大改革ブラン」の発表会見でのベーシックインカムの説明(ユーチューブより)

 一見、「所得や就業の有無によらず毎月お金をもらえるので生活も助かるし、消費にもつながり景気も良くなる」と歓迎されそうです。
 しかし、これには約100兆円の財源が必要で、そのために生活保護(生活扶助)と基礎年金をなくし、その他の社会保障制度も抜本見直しで財源を「BI」に回すというものです。これでは病気や事故、介護で働けなくなったときなどに受けられる社会保障制度がなくなり、「お金を配ったのだからあとは自己責任で」ということになりかねません。
 維新の会の国政進出に際して橋下徹元代表が掲げた「維新八策」の具体化といいますが、「八策」が強調するのは徹底した自己責任、社会保障は「真の弱者支援に徹する」というものです。
 「大改革プラン」も、大企業の研究開発税制など優遇税制には手を付けずに法人税を減税し、規制緩和や解雇の金銭解決など大企業の競争力を支援、経済成長につなげるとしています。企業からすれば、解雇しても、賃下げしても「毎月お金をもらえる」ことになります。

雇用流動化の狙いあけすけ

 「BI」を巡っては、菅義偉首相に近いとされるパソナグループ会長の竹中平蔵氏(国家戦略特別区域諮問会議有識者議員)が昨年、AI・デジタル資本主義の進展で職業が失われるのに備えるなどとして、月7万円の支給を提案。政府の規制改革会議議長も務めたオリックス元会長の宮内義彦氏ら規制緩和推進論者や財界人らも賛同しています。
 宮内氏は「BI」について、「(現金支給は)1回だけだとダメ、来月ももらえると思うから使う」「労働法規をかえないといかん。正規で雇ったら解雇できないというなら、そんなおそろしいものはやめてパートでいいか、と企業はなる」と雇用流動化の狙いを述べています(「朝日」2020年12月30日)。

綻びつくってきたのは誰か

 維新の会は、現行社会保障制度に「綻(ほころ)び」が目立つと言いますが、自民党と一緒になって医療・社会保障を縮小してきた人たちが、「BI」導入を提案・歓迎しているのです。
 また、「小手先の弥縫(びぼう)策で乗り切ろうとする政府・自民党に対して、維新が打ち出す抜本改革・もうひとつの選択肢(プランB)」などと言いますが、自民党でさえ踏み出せない、徹底した新自由主義的な「抜本改革」の先陣を切ろうとするものです。(Y)

(大阪民主新報、2021年6月27日号より)

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