おおさかナウ

2021年09月18日

大門実紀史の国会レポート
戦争は教科書から始まる

 

 菅内閣は今年4月、日本維新の会の質問主意書に対し、「従軍慰安婦」の「従軍」という言葉は不適切との政府答弁書を閣議決定しました。日本軍の関与を否定するためです。それにもとづき教科書会社5社は「従軍」の削除を行いました。安倍政権以来、教育へのあからさまな政治介入が続いています。
 平井美津子さんの新著「教科書と『慰安婦』問題」(群青社)を読みました。平井さんは長年、吹田市の中学校教員として、歴史の授業を通して「慰安婦」問題の事実を子どもたちに教えてきました。
 2018年10月、その授業が共同通信の配信で各地方紙に掲載されます(「憲法マイストーリー」)。
 平井さんの授業に賛同する人が多かった一方、SNSでは「反日教育をするな」「慰安婦なんてただの売春婦」など罵詈雑言が発せられ、大阪府議会では自民党や大阪維新の会の議員が平井さんへの個人攻撃を行いました。学校の管理職からも「もう慰安婦の授業はしないで」と度々、圧力をかけられますが、平井さんは「教育への政治介入に屈するべきではない」と毅然と対応しました。それがどれだけ大変なことか。家永三郎さんの教科書裁判の経過をふくめ、一人ひとりの良心と勇気なしに歴史の逆行はくい止められないことを本書は教えてくれます。いま多くの人に読んでほしい一冊です。
 教科書をつうじ再び戦争する国をめざす自公政権と維新。今度の総選挙で政権交代を実現し、かれらの野望を打ち砕きましょう。(だいもん・みきし 参院議員 第3週掲載)

(大阪民主新報、2021年9月19日号より)

月別アーカイブ