任せられるのはどの政党か
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日本共産党
新自由主義を終わらせ、命・暮らしを大切にする政治へ
日本共産党は9月22日に「コロナ危機を乗り越え、暮らしに安心と希望を――日本共産党の新経済提言」を発表しました。
この「提言」は、大阪府民にとっても、暮らしと経済、医療を立て直し、希望の持てる大阪をつくるためにも求められているものです。
大阪府の調査(2021年9月15日・大阪産業局)によると、昨年、府内企業の売上高が一昨年度から「減少した」と答えた事業者は、全体で63・1%。大企業56・2%に対し、中小企業は63・5%、小規模事業者では70・4%にも上ります。
雇用も深刻です。正規雇用の従業員を減らした企業は、全体では28・1%に対し、非正規雇用(パート・アルバイト)を減らした企業は34・7%に上ります。正規雇用も業績悪化が顕著な「宿泊業、飲食サービス業」では約4割の減少です。
「提言」では、非正規から正規労働へ労働者派遣法の抜本改正、中小企業の社会保険料軽減に7千億円を投入し、最低賃金1500円を引き上げるとしています。
9月28日の早朝、大阪市北区・天満市場で国会報告を行った清水ただし衆院議員(衆院近畿比例・大阪4区重複候補)は、「非正規も含めると男女間の賃金格差が40年間で約1億円にも上る」とし、ジェンダー平等実現、働くルールの確立で賃金格差の是正をと訴えました。
26日、浪速区のスーパー前でマイクを握った竹内よしのり衆院大阪1区候補は、自ら2人の子どもを育てる父親と自己紹介しながら、「オムツにも子どものおやつにもかかる消費税こそ、格差を広げる最大の原因。野党連合政権で、今すぐを5%に減税しよう」「コロナでアルバイトも切られ、大学を辞めざるを得ない学生の声に応え、高すぎる日本の学費を半額に。世界で日本だけの入学金をゼロに。子育てしやすい社会への願いは日本共産党へ」と力を込めて訴えました。
安倍・菅政権への反省なし 自民党
総裁選が連日報道され、各候補がそれぞれ「政策」なるものを出していますが、自民党としてまとまった政策ではなく、実現可能性は何の担保もありません。
そもそも菅政権の退陣は、新型コロナの無為無策、自己責任の押し付けへの国民の批判によって追い詰められたもの。どの総裁選候補も、そこへの反省は一言もないというのでは、自民党の中で誰に首をすげ代えても何も変わりません。
安倍・菅政権以上に「自民党的」新自由主義路線 維新
維新は8月25日、政策提言集「維新八策2021」を発表しました。
発表会見で維新政調会長の浅田均参院議員は、「日本大改革プラン」「日本のフルモデルチェンジ」などと表現しましたが、8つの大項目のうち3つは「自民党と大差ない」と言います。しかし、「大差ない」という項目以外にも、自公政権と同じ方向のものが多く、安倍・菅政権以上に新自由主義的なものも。今、必要なのは、命・暮らしを守るための新自由主義路線の転換です。
「維新八策」は、「身を切る改革」として、企業団体献金の全面禁止を言いますが、税金で政党活動を支える政党助成金については言及なし。「成長戦略」や社会保障、雇用などの分野では、金融規制緩和や外資誘致、社会保障の受益と負担の明確化、解雇の金銭解決、労働市場の流動化など、自公政権と同じ方向です。
農地の株式会社保有を全面的に認め、カジノ(IR)誘致は、新型コロナの感染拡大の影響による海外資本への影響を配慮して法改正検討など、海外資本に優遇して推進。安倍・菅政権が大企業応援で引き下げてきた法人税減税はさらに引き下げ。安倍・菅政権以上の新自由主義路線推進です。
「防衛費のGDP1%枠撤廃」を掲げ、憲法9条についても「平和主義・戦争放棄は維持した上で、正面から改正議論を行います」としています。
自民党との違いを強調する目玉政策の一つとして「ベーシックインカム」(最低所得補償)を掲げました。「直ちに導入するものではない」(浅田氏)とのことですが、維新幹事長の馬場伸幸衆院議員は「維新タイムズ」で、《医療、福祉、教育はそのままの形で6万円程度を毎月支給》と記載しています。
基礎年金、生活保護等は廃止するとし、自己責任に重きを置き、解雇の規制緩和、給付と受益の明確化などを打ち出す“維新流”では、「現金は配ったから後は自己責任で」となりかねません。
高校、大学を含めた授業料等の完全無償化、コロナ対策としての消費税の5%へ(2年=目安=に期間を限定)の減税も打ち出しました。前向きの政策です。ただ、維新は、少人数学級など教育条件の改善には消極的で、3年連続定員割れした府立高校の廃校を強行してきました。
「広域行政一元化」を法制上の措置を含めて実現するとしています。「大阪都構想」を巡る2度の住民投票で否決された政策を、大阪府・市で条例制定で強行したばかりか、国政でも推進しようとするもので、民意軽視も甚だしいものです。
「公助」や「互助」ではなく、「自助」を真っ先に掲げた菅政権と維新は路線上も同じです。
無為無策のコロナ対策が実績 公明党
9月10日に大阪入りした公明党の山口那津男代表は、「自公連立は唯一の選択肢」(「公明新聞」9月11日付)と訴えます。
同党が発行した政策パンフレットでは、安倍・菅政権のコロナ対策を「公明党の実績」と大きく宣伝します。無為無策・後手後手のコロナ対策への国民的批判で政権を投げ出した菅政権に反省を求めることもなく、ひたすらすがりつく公明党。一方で大阪では衆議院の議席維持のために「住民投票賛成」と引き換えに維新と野合する、節操なき姿が浮き彫りになっています。
「2021政策」や重点政策(9月21日発表)では、「子育て世代への未来応援給付」「子どもの幸せ最優先」など子育て世代に的を当てた政策を出しています。しかし「子育て・教育を国家戦略に」というなら、日本の教育支出への公的支出を先進国最低水準にとどめてきたことや、生活困窮者への特別給付金の再支給や生活困窮者への10万円の支給などの要求には一切応じず、持続化給付金も1回きりの支給で切り捨てた自公政権の責任こそ、問われなければなりません。
「力強い日本経済の再生へ」として公明党が挙げるのが、「デジタル化」「グリーン(脱炭素化)」、「ヒューマン(人材)」「活力ある地方づくり」の4つ。そこには、コロナ禍に苦しむ府民の暮らしに重くのしかかり、消費購買力を押し下げている消費税減税には一言も触れられていません。
逆に「新たなマイナポイント」や口先だけの「2050カーボンゼロ」に沿った「開発支援」「設備投資」「クリーンエネルギー自動車の購入補助」など、菅政権が鳴り物入りで進める政策に沿ったメニューが並びます。
自公政治が長年とってきた弱肉強食と自己責任押し付けの政治を終わらせ、庶民の懐を温める政治への転換でこそ、「経済の再生」は可能になります。
(大阪民主新報、2021年10月3日号より)