カジノやめ市民生活を第一に
大阪市議会決算特別委 長岡ゆりこ議員が質問
大阪市の2020年度公営・準公営企業会計決算を審議する市議会決算特別委員会が6日開かれ、日本共産党の長岡ゆりこ議員が港営会計の大阪港埋め立て事業と、PFI(民間資金を活用した公共施設整備)による水道の管路更新事業について質問しました。
埋め立て事業には、2025年の大阪・関西万博の開催予定地で、府と大阪市がカジノを核とした統合型リゾート(IR)の誘致を狙う夢洲(ゆめしま)などがあります。同事業を含む港営会計の企業債残高はここ数年減少していましたが、20年度末で約16億8千万円増え、約1210億円となっています。
長岡氏が増額に転じた理由をただすと、大阪港湾局は「夢洲で万博関連の土地造成工事が本格化してきたことによるもの」と説明、21年度末には企業債の新規発行増で1300億円を超える見通しだと答弁しました。
長岡氏は、万博会場へのアクセス鉄道の基盤整備が当初の250億円から40億円増え、大阪メトロ中央線を延伸して夢洲に造る新駅周辺事業の民間公募で1社からも手が上がらなかったと指摘。新駅周辺の整備は埋め立て事業が担うが、整備費は不明だと述べました。
さらに埋め立て事業の長期収支で見込んでいる、IR事業者からの基盤整備負担金などの収入について質問すると、大阪港湾局は「(収入が見込まれる)時期は不確定」と答えました。
長岡氏は「見込みが立たないということだ」と断じ、「カジノ・IRの誘致のために、ギャンブル的に事業投資をし続けることはやめ、引き際を見極めよ」と力説。「行政の役割を見つめ直し、市民生活を第一に考えた港営事業・埋め立て事業に転換を」と述べました。
管路の更新は行政の責任で
長岡氏は、水道局が管路更新のPFI事業(16年間)を公募したものの、すべての企業グループが辞退したと指摘。同局は「PFI方式で実施すれば耐震化のスピードが上がり、コストも下げられる」と説明してきたが、16年後の市民生活に責任を負えるのは行政だけだということがはっきりしたと強調しました。
長岡氏は、松井一郎市長が、今回不調に終わったPFI事業について公募要件の緩和に言及していることに、「大きな危機感を感じる」と指摘。「大企業に利権を渡すのではなく、地元の中小企業を応援し、管路耐震化のスピードアップには水道局の体制強化で対応すべき」と述べました。
(大阪民主新報、2021年10月17日号より)