実態に寄り添い、主権者としての
成長を励ます対話で党の姿を伝える
総選挙で取り組んだ学園前宣伝から
日本共産党大阪府委員会青年学生部 宮本奈生
総選挙での学生との対話と宣伝の経験について、日本共産党大阪府委員会青年学生部の宮本奈生さんの手記を紹介します。
今回の選挙で日本共産党の議席を減らしてしまったことは大変悔しいことでしたが、選挙戦を通して貴重な教訓もたくさん生まれました。
党の政策「4つのチェンジ」は、共産党がどんな党でどんな社会を目指しているのか、今までになく青年学生に伝えやすいものでした。特に「ジェンダー平等」については、どこでも夫婦別姓を認めるべきだという声や、同性婚を認めないことはおかしい、今すぐ実現すべきだという共感が得られました。
選択肢に入っていない共産党を
選挙前に行った党府青年学生部の学生意識調査では、学生の中に共産党がそもそも選択肢に入っておらず真っ白な状況で、ここに党の姿を示せれば大きな変化を起こせるという展望がありました。しかし実際は共産党の姿を届けきれず、党を選択肢にまで押し上げきれなかったと率直に感じます。
青年の保守化を指摘する声がありますが、私たちが聞いた声は、「なんとなく自民党」「政権交代でこれ以上悪くなったら不安だから今のままでいい」「コロナだから仕方がなかった」など、今の自民党を支持する理由は圧倒的に消極的なものでした。投票行動についても、「分からないから選挙に行かない」「行きたいけどどこに入れるか決まってない」「分かっていない自分が投票するのは申し訳ない」など、みんな本当に悩んでいました。
この状況は、青年学生の責任ではなく、主権者教育の遅れ、自己責任を押し付ける今の政治の責任です。一人一人と丁寧に対話し、時には、質問攻めに遭い、1時間も対話になることもありましたが、主権者として成長を励まし、党の政策を伝え、自民党や維新の支持者にも党の本来の姿を示せたことは重要でした。
対話では、党が掲げた政策を政権交代で実行できるという訴えは伝えやすく、大学入学金制度の廃止、ジェンダー平等、気候危機打開などの政策への共感の声が多くありました。
選挙を党の姿を示せるチャンスにしようと、新型コロナの感染が落ち着き、対面授業が始まるなかで、選挙期間中は学園前宣伝に集中して対話宣伝を行いました。
切実な実態や願いが次々に出て
私立大学前のシールアンケートで対話になった学生は、「投票は行くけど、分からないから友だちと話している」と言うので、分からないのに何故投票に行こうと思ったのかと聞くと、「コロナがあって大変だったから考えないといけないと思って」と言いました。今回の選挙の意義や政策を伝えると「よく分かった。話せて良かったです」と語る姿に、主権者としての成長を励ます対話が響いたと実感しました。
国立大学前で出会った学生は、「コロナで大学の授業を受けることができない時期は不安だった」「地球温暖化をこれ以上進めないような政策をとってほしい」と話しました。どこに投票するかは悩んでいるとのことで、共産党のイメージを聞くと、「ソ連のイメージで、共産主義は怖いと思っていたけど、今日討論番組で、共産党の人が話しているのを聞いて、自分が思っていた共産主義と全然違ったことを言っていてびっくりした。当たり前のことを言っていました」と話し、政策を詳しく伝えると共感してくれました。
他にも、「憲法を守ってないから自民党を評価しない」という学生、「学費半額は助かる。受験料が高くて親に受けないでと言われて、試験自体を諦めた。選択肢が奪われないようにしてほしい」など切実な願いがありました。
全体として政権への不満や批判が少ない中で「政権交代」の重要性や展望が伝わりにくい面もありました。しかし学生の実態から対話すると、困難な状況が見え、アルバイトのシフトが減って、生活が大変だったこと、学校に行っていないのに学費が同じだということへの疑問などが語られ、実態に寄り添って党の政策を語ることが大事だと思いました。
その場での民青加盟や繋がりも
学園前の対話宣伝では党支持者とも出会い、その場での民青同盟への加盟や今後のつながりとなる経験が生まれました。
ある私立大学前では、「未来を変えられる選挙なのに選挙に行かないのはもったいないと思う」と語る学生と対話になり、家族ぐるみで沖縄の辺野古新基地反対の運動に取り組んできたとが分かり、その場で、加盟を訴え仲間になってくれました。
別の私立大学の学生は、「最賃1500円がいいと思い共産党に入れようと決めていた。気候問題も気になる」と対話になり、民青の加盟呼び掛け文を読んでもらうと、「格差と貧困の解決が重要だと思う。自分は母子家庭で、先日母親が仕事の過労で倒れた。苦労させている」と話してくれました。加盟には至りませんでしたが、党の支持を広げますと約束し、民青の公式LINEにも登録してくれました。
公立大前では、期日前投票に行った学生と対話になり、「授業で核兵器禁止条約について学んでいて、もっと注目しとけばよかった」と話してくれました。共産党だと伝えると「ずっと応援しています!」と言い、今の政権への不満や、共産党について自分で調べていたことなどを語ってくれ、「こういうことを話せる場がなかったからうれしい」と話していました。選挙結果も受けて連絡すると、「結果は少しショックでしたが、これからも共産党や野党共闘を応援したい。また話せるのを楽しみにしています」と返ってきました。
今後さらに前進をつくる上で、日常的に共産党の姿を学生の前に示していく必要があると思います。学園前宣伝に取り組むことの重要性を実感し、打って出れば党躍進や組織的前進の可能性が十分にあることを確信に、活動を進めていきたいと思います。(みやもと・なお)
(大阪民主新報、2021年11月21日号より)