堺・おでかけ応援制度
永藤維新市長が改悪案を再提案
〝勝つまでジャンケン〟に市民怒り
堺市のバス・公共交通を考える会事務局長 松永健治さん
永藤英機堺市長が「おでかけ応援制度」改悪案を再提案した問題で、堺市のバス・公共交通を考える会の松永健治さんの寄稿文を紹介します。
堺市の永藤英機市長(大阪維新の会顧問)が、昨年末の堺市議会で否決された「おでかけ応援制度」の「改悪条例案」を、2月議会で再度提案してきました。市民が陳情請願できる締切日(1月31日)が過ぎた2月7日、議会開会間際に出すという姑息で酷いやり方です。
12月議会では改悪案を否決
堺市の「おでかけ応援制度」は、高齢者の外出を支援し、公共交通の利用を促進することを目的として、満65歳以上の堺市民が市内の路線バス(南海バス、南海ウイングバス金岡、近鉄バス)や阪堺電車を1乗車100円で利用できる制度です。
2018年にはそれまで年間240日だった利用日数の制限がなくなりましたが、永藤市長は19年の市長選挙で制度拡充を公約したにもかかわらず、昨年、対象年齢を65歳から70歳に引き上げるための改悪条例案を提案。これに対し、市長の公約違反だとし、制度改悪反対の声が市民の間で広がる中、昨年12月議会で維新のみの賛成で少数否決されました。
昨年否決の内容と同じ骨格
今回、永藤市長が提案してきた改悪条例案の内容は、住民税非課税世帯は制度の対象に残すとはいえ、それ以外の全体の約70%に当たる65歳~70歳の人は「対象から外す」というものです。先の市議会で否決された「65歳~69歳を対象外にする」という「改悪条例案」と骨格は同じで、若干手直ししたものでしかありません。
制度改正の提案説明でも、現行制度からどう変更するかではなく、12月議会で否決された案をどう修正したかということしか示していないことも重大です。
議会審議結果も踏みにじり
12月議会では、永藤市長が市長選挙で、おでかけ応援制度を拡充するとしていたにもかかわらず、その公約を破って改悪することは許されないと糾弾されました。
また、どの議員からも、この制度は「高齢者施策としての効果」だけではなく、地域経済への波及効果やバス路線維持効果等「社会的効果が大きい」(堺市の調査報告書)ことが指摘されました。市議会では、これほど効果がある制度を「改悪する理由はない」と維新以外の全議員の反対で否決されたのです。
にもかかわらず、若干の修正をしてきたとはいえ、再度「改悪提案」してくるとは、議会審議結果を軽視、乱暴に踏みにじるものであり、絶対に許されるものではありません。
陳情書も間に合わない提案
改悪条例案が再提案されたのは2月7日。市議会への陳情請願の締切日は1月31日です。主権者である市民の意見を言う場も奪って強行しようとするのは民主主義の前提さえ崩されてしまいます。
永藤市長が改悪提案の根拠としている資料もひどいものです。
市長は、厚生労働省などの統計資料を根拠にしていますが、所得階層別の歩数については男性だけの数字を使うなど、都合の良い部分を切り取っているにすぎません。
再提案を知った市民からは、「あんまり変わってないものを再度提案するとは、『拡充』という公約に反してるのは前と一緒ではないか」(堺市東区)、「自分たちがやりたいことは、たとえ市民がどう言おうとやる!都構想と同じだ」(同西区)、「住民無視のやり方に腹が立っている。市民が知らんうちにやろうというのには呆れる」(同北区)、「やり方も汚いし許せない」「維新は、市民の味方やと思ってたのに。ひどい」、「勝つまでジャンケンですね」(同南区)などの声が寄せられています。
堺市のバス・公共交通を考える会では、永藤市長の条例改悪案提出に抗議し撤回を求め、各議員に反対するよう要請運動を呼び掛けています。
私たち市民は決してあきらめません。市民にこの事実を伝え、みんなで阻止するために力を合わせます。(まつなが・けんじ)
(大阪民主新報、2022年2月20日号より)