大阪市 感染者数入力漏れ
手続きミスで症状深刻化
枚方市Iさんの例
市の届けなく対応できない
大阪市内の診療所で働いているIさん(45歳、男性、枚方市在住)は1月25日、身体にだるさを感じ、微熱もあったため仕事を休みました。翌日、職場でPCR検査を受けると新型コロナウイルスの陽性が判明。27、28日も微熱が続き、29日に38度、30日には39度の熱、せきも出たので、母親のJさんが心配して、2月1日に住んでいる枚方市保健所に連絡しました。ところが、「大阪市からデータ(感染症発生届)が来ていないので枚方では対応できない」と言われました。
同日、Iさんは高熱と苦痛の中、職場の同僚に相談。地元の往診医を探してみてはとの助言を受け、インターネットで依頼しました。
午後4時、医師が往診した時は酸素飽和度が88%まで下がり、肺炎が認められ、中等症Ⅱで入院が必要と診断されました。医師は「大阪市から発生届が来ていないなら入院要請ができないので、私のほうで発生届を出します」と話し、ベッドの空きがないかもしれないため、とりあえず酸素濃縮装置を手配すると伝えました。
夜10時頃、業者から届いた重さ25㌔ある装置を、70代の両親が1階から2階まで運び、Iさんに吸入を開始。10時半に枚方市保健所から入院先を確保したとの電話を受け、11時頃、同市内の病院に救急搬送されました。
顔色見てもう会えないかも
Iさんは肥満で高血圧の基礎疾患があり、重症化リスクが高い体質ですが、入院後は適切な治療を受けて快方に向かっています。Jさんは救急搬送される時に、顔がむくれて土色になっていた息子を見て、「もうこれで会えないかもしれないと思った」と話します。
「処置してもらうのが遅れていたら、息子は助かっていなかったかも知れない。幸い医療関係の職場で働いていたので対応してもらえましたが、そうでない人は大変な思いをしているはず」と父親のSさんも言います。
1月26日にIさんが陽性と分かったことを受け、27日に両親が検査を受けたところ、3日後の30日に2人の陽性も判明しました。
驚いたのは、2月5日、入院中のIさんの携帯電話に、入院する病院を手配した枚方市保健所から、「自宅療養されていますか?」と電話があったことでした。
大阪市は3日、1月下旬から2月2日にかけて、市が新型コロナへの感染を確認した人のうち、約1万3700人のデータが府内の新規感染者に反映できなかったことを発表しました。新聞記事でそのことを知ったIさんの両親は、大阪市内のPCR検査陽性者の発生届がなぜ居住地の枚方市保健所に届かず、自宅療養中のIさんの様態急変への措置が遅れたのかが分かったと言います。
こんな府政を変えなければ
父親のSさんは言います。
「松井大阪市長も吉村知事も、入力遅れは人間の命に関わる問題であることを真摯に受け止めるべき。今回のことで、身を持って、カジノ優先から命優先の府政に変えなければと思った」
(大阪民主新報、2022年2月13日号より)