おおさかナウ

2022年05月14日

国はデタラメ計画認可するな
カジノ誘致計画 維新府市政が申請
参院選の一大争点に

 維新の大阪府・市政は4月27日、カジノを核とする統合型リゾート(IR)を大阪湾の埋め立て地・夢洲(ゆめしま・大阪市此花区)に誘致するための区域整備計画(誘致計画)の認可を、国に申請しました。今後、国の有識者会議の審査を経て、国土交通相が認可するかどうかを決めます。大阪へのカジノ誘致を許すかどうか、たたかいは新たな段階に入りました。

街頭宣伝でカジノ誘致問題について訴えるたつみ氏=5月6日、大阪市中央区内

カジノの標的は大阪周辺の市民

「大阪にカジノはいらない!」と訴える府委員会のポスター

 申請期限の4月28日までに誘致計画を出したのは、大阪府・市と長崎県の2カ所。和歌山県では県議会が誘致計画を否決して断念に追い込まれるなど、国が認可の上限としていた3カ所に及びませんでした。
 大阪の事業者は、米カジノ大手の子会社、日本MGMリゾーツと日本のオリックスを中核に、関西を中心とした企業20社でつくる「大阪IR株式会社」。IR全体の年間来場者数は2千万人と想定し、2029年の秋から冬の開業を目指すとしています。
 誘致計画ではIR全体の売上5500億円のうち、8割(4200億円)を占めるのが、人の不幸の上に成り立つ賭博のカジノ。標的は、大阪周辺の一般市民です。カジノ事業者は来場者の2%がギャンブル依存症になると認めており、日本人の年間来場者として見込む約1千万人のうち、約20万人の患者が生まれることになります。

公費支出に批判 推進派に矛盾も

 維新は「カジノには税金は使わない」(松井一郎大阪市長)と繰り返し公言してきました。
 ところがカジノ業者言いなりに、市は夢洲のカジノ用地の汚染土壌や液状化対策などだけで約790億円の公費支出を決めたことに、強い批判が起きています。
 誘致計画は3月の府議会と大阪市議会で維新、公明などの賛成多数で同意議決が強行されましたが、大阪市議会で自民党市議団が反対し、府議会では自民党を離団して反対に回る議員が出るなど、「カジノ推進派」の中にも矛盾が広がっています。

期間を区切らず慎重に審査する

 日本共産党の宮本岳志衆院議員は、認可申請の締め切りが迫っていた4月26日、衆院総務委員会で質問。約790億円の公費を支出する夢洲の残土や汚泥処理、地中埋設物撤去も国の認定審査の対象になるのかとただしたのに対し、内閣官房特定観光施設区域整備事務局の木村典央次長は、「指摘の土地に対する対策も確認する必要がある」と答えました。
 誘致計画の審査・認定のスケジュールを確認したのに対し、木村氏は「期限を区切ることなく、慎重かつ十分な審査を行う」と答弁しました。
 宮本氏は「期間の定めがないわけだから、慎重かつ十分な審査を。IR・カジノが地方財政の健全性を損なうことがあってはならない」と述べました。

全員カジノ派の大阪選挙区に風穴を

 日本共産党府委員会はこの間、誘致計画のひどい問題点を明らかにすると同時に、同党の経済政策を特集したビラ「JCP大阪」(第407号)を発行するほか、「大阪にカジノはいらない! ギャンブルより暮らし応援」のポスターを作製。カジノに反対する大阪連絡会の活動や、住民投票条例制定を求める取り組みなど、幅広い市民・団体と連帯しながら、「国は認可するな」の世論と運動を広げようと呼び掛けています。
 カジノ誘致は参院選の大争点。大阪選挙区(改選数4)で議席奪還へ奮闘する、たつみコータロー前参院議員は、「国に認可させないために何が必要か。大阪の参院議員は全員カジノ推進派。『大阪をギャンブルの街にするな』の声を参院に届けるために、どうか勝ち抜かせて下さい」と訴えています。

(大阪民主新報、2022年5月15日より)

月別アーカイブ