おおさかナウ

2022年06月04日

今こそ消費税減税、経済政策転換を
物価高騰から暮らしを守れ
「国会ほんまの話」第5弾 大門参院議員・たつみ前参院議員が討論

 日本共産党の大門みきし参院議員・比例候補、たつみコータロー前参院議員・大阪選挙区候補は5月26日、オンライン企画「国会ほんまの話」の第5弾「物価高騰ほんまに大変!暮らしはどうすんの」を行いました。日本共産党大阪府委員会の渡部結副委員長が進行役を務めました。

トークするたつみ、大門、渡部の3氏=5月26日

13年ぶりの物価上昇

年金下がった高齢者からも悲鳴

 3人の子どもの父親であるたつみ氏は、スーパーにカレーの材料を買いに行ったエピソードを紹介し、タマネギなどの値上がりや、学校給食の食材調達に影響が出ていることを指摘し、「ガスなど光熱費の負担も大きい。年金額が下がった高齢者からも悲鳴の声が寄せられている」と話しました。
 事業経営への影響を示した大門氏は、近畿地区全体で企業倒産が増え、大阪は全国最多だと指摘(資料①)。新型コロナウイルスの影響やウクライナ情勢を受けた原材料高騰の影響に触れた上で、『赤旗』5・6月号外を示し、▽消費税減税▽大企業の内部留保課税▽適切な中小企業支援を前提とした賃上げ促進――が必要だと語りました。

アベノミクスの大失敗が背景に

 総務省が発表した4月の全国消費者物価指数は、前年同月比2・1%上昇し、伸び率では、消費税増税の影響による物価上昇(2015年3月の2・2%上昇)を除けば、08年9月以来13年ぶりに上昇率2%超の高水準となりました。
 「今の物価高は円安で輸入品が値上がりし、全体を押し上げたもの。家計悪化の背景には『アベノミクス』の大失敗がある」。大門氏は、金利をゼロ付近に抑える「ゼロ金利」政策や、量的緩和政策による国債大量購入などによって、通貨供給量が増える一方、実体経済を伴わないまま大企業・投資家に巨額の利益が集中した仕組みを解説しました(資料②)。

格差貧困拡大させた

 さらに大門氏は、大企業の内部留保が株式市場に投入され「含み益」をもたらすいびつな構造を示し、円安で国民の暮らしは悪化したが、逆に輸出大企業は大もうけしたと批判。「円安を加速させた最大の要因は日米金利差の拡大。アベノミクスは大企業と大株主をもうけさせる一方、国民の暮らしを追い詰め格差と貧困を拡大した」と語りました。

日銀の「指し値オペ」の実施で

 外国為替市場で円安・ドル高が加速する問題を巡っては、日銀による「指し値オペ」の実施が大問題になっています。
 「指し値オペ」は、金利上昇を意図的に抑えるため、国債を指定した利回りで無制限に買い入れるもの。日銀は3月下旬以降、断続的に「指し値オペ」を実施。4月28日の金融政策決定会合後の声明では、「指し値オペ」を毎営業日実施する」と明記し、この日の東京外国為替市場は円相場が急落し、約20年ぶりに1ドル=130円台の円安・ドル高水準となりました。

暮らしを顧みず緩和策を続ける

 たつみ氏は日銀の「指し値オペ」の問題点について、欧米諸国などがインフレ懸念から金融引き締め政策に転じ金利上昇傾向に向かう一方、日本銀行は無理やり金利上昇を抑える姿勢は異常だと指摘。「国民生活を顧みず金融緩和策を続けることは許されない。今の政権には、国民の暮らしの現実がまったく見えていない」と発言しました。大門氏も、「結局、利回りの低い円が売られドル買いの動きが強まることで、円安によって輸入価格が上がり、物価上昇の悪循環となる」と語りました。

弱点消えないMMT

財政ファイナンスは「禁じ手」だ

 日銀が保有する国債が500兆円を超える問題で、中央銀行による国債購入で政府の財政赤字を穴埋め・補てんする「財政ファイナンス」は禁じ手です。大門氏は、政府・日銀内部にも「是正すべき」との良心的な意見があるとし、国債暴落と金利急上昇、海外ヘッジファンド対策を十分とりながら、将来的に国債を減らすとの方向性を示すことが大事だと語りました。

財政・税制の問題こそ正すべき

 この問題と関連し、「社会保障充実のために、国債をどんどん発行しても財政は破綻しないという議論があるが、実際はどうなのか」との質問に、たつみ氏は、自国通貨建ての政府債務で財政破綻は起きないとして赤字を気にせず財政支出を求める「MMT(現代貨幣理論)」理論について、インフレ・金利上昇の恐れなど「財政ファイナンス」の最大の弱点は消えないとし、財政や税制の問題点こそ正すべきだと強調しました。
 大門氏も「確かに財政赤字を口実に緊縮財政・消費税増税を求める政府・財務省の姿勢は批判されるべきだ」と述べた上で、戦中の日本で戦費調達のため、統制経済を進めてハイパーインフレを招いた歴史を紹介。「MMT理論では永遠に国債を買えるなどと主張するが、日本銀行のバランスシートの上でしか買えない。国債を甘くみてはいけない。すでに日銀の国債は限度に近づいており、早く正常化の道に踏み出さないと駄目だ」と語りました。
 5月25日に志位和夫委員長が、衆議院の代表質問で「内部留保課税」を提起した時に、岸田文雄首相が「二重課税との指摘がある」と答弁しました。大門氏は、「政府答弁は『指摘がある』とは言うが『二重課税がある』とは決して言わない。私たちの提案を二重課税と言うなら、消費税こそ二重課税と認めなければならなくなるからだ」と指摘しました。
 視聴者から、「アメリカが金利引き上げているのに、日本では円安政策が続いている。同じ『新自由主義』で金融政策が違うのはなぜか」などの質問が寄せられました。
 大門氏は、「新自由主義経済は企業利益を最大化することが本質であり、アメリカも日本も何の違いもない」と答え、その上で、「『対米従属』の関係から、日本の円でアメリカ国債を支える仕組みが続けられている。だから、実際の金融政策は2カ国で全く違うやり方になる」と解説しました。


物価高から暮らし守る「やさしく強い経済」へ日本共産党の5つの提案       

 日本共産党は、物価高騰から暮らしを守るためには、小手先の対策ではなく新自由主義を終わらせて「冷たく弱い経済」から「やさしく強い経済」への抜本的転換が必要だと訴え、次の5つを提案しています。

①消費税を緊急に5%に減税し、インボイス(適格請求書)を中止する

②「賃金が上がる国」へ大企業の内部留保課税で賃上げを促進する

③年金削減を中止し、大学学費を半分にし、国の制度として義務教育の 給食を無償化する

④気候危機打開へ100%国産の再エネの大規模な普及をはかる

⑤ジェンダー平等へ男女の賃金格差をなくす責任を果たす

(大阪民主新報、2022年6月5日より)

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